番外編2 トイレへのこだわり
今までの話を読んでくれた方はすでにお分かりだろうが、俺はトイレがとても長い。まあ改まって言うことでもないのだが、俺のトイレの長さは群を抜いている。これは地味で内気な俺にとっては数少ない自慢できることの1つである。あ、そんなの自慢にならねえよ、とか、もっと他のことに時間使えボケ、などの批判は受け付けておりません、ご了承ください。はい。まあそんなことはひとまず置いておくとして、何が言いたいかというと、俺は1日のうちのかなり長い時間をトイレという空間で過ごすということだ。つまり、その空間が居心地の良いものでなければ長時間滞在するのが苦痛になってしまう。ちなみに、それなら早く出てくればいいだろう、などというご意見も受け付けておりません。まあとにかく、トイレという俺の第2の住処と呼べるほどの空間を快適に保つという点において、俺は一切の妥協を許さない。
まず1番こだわっているのが便座カバーだ。フワッとしたクッション性を持ち、適度な厚みと柔らかさを兼ね備えた便座カバーをセットする。これが無いと、便座に10分ほど座っているだけで足全体がピリピリと痺れ始め、30分を超えたあたりでは足の感覚はとうに消え去っている。という残念な結末を迎えることとなる。それゆえに、この便座カバーは俺の長いトイレ生活を守るうえで最も重要な役割を担っているのだ。ちなみにこの便座カバーは定期的に洗濯するので、その際のスペアも用意している。あ、そんな情報いりませんでしたか、そうでしたか、ごめんなさい。
そして2番目のこだわりは、消臭機能付きの送風機だ。なんとこの送風機、温度調節機能まで付いているという優れもので、トイレ内の空気を清潔かつ快適に調節してくれるのだ。なぜこんなものが必要なのかって?例えば夏場、長時間トイレに籠っているところを想像してもらいたい。狭い密室で上がり続ける室温。それに伴って爆発的に増加する臭いの元となる菌。それが負の相乗効果を発揮し、トイレ内の空気は想像を絶するものとなる。それはとても言葉だけで言い表せるものではない。でもこの送風機があると、あら素敵。臭いを消してくれるだけでなく涼しい風が、まるで青々とした草原を吹くそよ風のように、俺の体を包んでくれるではありませんか。あ、決して通信販売のCMじゃありませんよ?逆に冬場はトイレ内の冷え切った空気を温めてくれるので、お腹が冷えるのを防ぐことができるというわけだ。これでこの送風機の大切さがよくお分かり頂けたでしょう。え?そもそもそんなにトイレに入っていないから分からない?そうですか…。
そして最後にもう1つ俺がこだわっていること、それはBGMだ。は?こいつ何言ってんの?っていう目で見ないでください、お願いします。勘弁してください。まあこれは長いトイレ時間を少しでも優雅に過ごそうという試みである。長時間トイレに入っていると、殺風景な壁紙をひたすら眺めるのにも飽きてくる。新聞や雑誌なんかを持って入ればいいのかもしれないが、俺はあまりそういうのは読まないタイプの人間だ。そこで何か気分を明るく変えられるものはないかと考えた結果がBGMだったのだ。小型だが音質のいいスピーカーを便器の裏側に設置し、ケータイからBluetoothを飛ばして再生する。リラックス効果のあるBGMを流して目を瞑ると目の前にはほら、大自然が広がっているようじゃないか。いや、広がってるのはタオルだけだろ、なんて言わないでくださいね?絶対ですよ?ね?
とまあこんな感じで俺はトイレの環境づくりに強いこだわりを持っている。もちろんこまめな掃除は欠かさないし、トイレットペーパーを切らすなんてこともありえない。ちなみにトイレットペーパーはシングル派です。え?そんなこと誰も聞いてないって?そんなこと言ってる暇があったらさっさと話を締めろって?言われなくてももう終わりますよ。もしこれを読んでいる人の中で俺のようにトイレが長い人がいたら、ぜひこれらを試してみてほしい。きっとあなたのトイレ生活がいい方向に変化するはずだ。それじゃ、俺はトイレに行ってくる。
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