第15話 これはインターバルなのでしょうか
トイレにとりあえず胃を置いてきて、台所で空のペットボトルに水を詰めてきました。手間を考えると台所でやった方がいいことは分かっていますが、こんなものを食べ物の近くで開けたくはありません。
正直、こんなもの触りたくはありません。でも、これをそのまま捨てることなんてできません。減らせるリスクは減らさなければいけません。
――やりましょう
袋を開け、胃を取り出します。大きさは私の手首から肘までより少し大きいくらいでしょうか。中華包丁と地下室から出てきたまな板がわりになりそうな木材も持って来ていますから、もし出が悪いようならこれで口を広げようかと思います。ちなみにこの板はたぶん何かの家具の一部だったのだと思いますが、ほかの板が見つからなかったので真相は分かりません。
まずは下のひもを解いてみましたがあまりうまく出せません。上の方から出しましょうか。下からよりは出やすいはずです。
上を解き、ゆすりながら中を出していきます。かたさのあるものからものを出している訳ではないので、へこんでしまったり、途中で中身が邪魔して出が悪くなったりとちょっともたついてしまいました。でも下からよりは早そうです。
何度もトイレの水を流しつつある程度中身が出たら、今度は水を流し込みます。
そういえば、中身を見ていて分かったことなのですが、どうやら彼は夕食は取ってはいなかったようです。楽ができたので嬉しいことです。
水を注ぎこみ、口を手でしめて胃を振って、トイレに流す。それを繰り返します。素直な形ではないので、上方向にもしっかりと水がいくように振ってやらないといけません。
こっちも何度も繰り返します。出てくる水がきれいになってくるまで根気よくやりましょう。がんばります。
さて、最初の計画とは少し違いますが消化器は取り終えました。次に移るにはこの邪魔な肋骨をどかさないといけません。
脚や腕を切っているときは、道具をいちいち変えたり、肉を噛まないように気を付けたり、といったことを面倒だななんて考えていました。今考えると、あれはどんなに楽で簡単だったか。この肋骨を取り外すのも腸と胃に比べれば気楽なものです。
数十分ぶりの包丁とのこぎりです。今回は肉と骨がきっちり分かれていないので、どうすればいいんでしょうね。この骨スキ包丁というもので骨だけを露出させた方が良いのかもしれませんが、手際よくやれる気がしません。出来たとしても時間がかかってしまうでしょうね。しかたありませんし、多少切りにくいことは覚悟して電動のこぎりで切ってしまいましょうか。
まずは中華包丁で逆U字に皮と薄い肉を切っていきます。骨にあたるまでしっかりと切っていくのですが、今までとは違って端が切れ落ちてるからなのか、かなり皮が切りにくいです。引っ張りながら少しずつ切りましょうか。側面を切っていくのは包丁が斜めになってしまい、ちょっと力が入りにくいです。逆U字の上の部分は脇の高さですので、鎖骨にぶつかることはありません。ここはようやく体重を使って切れるのですぐに終わりました。のこぎりでこの線の下の骨を切れば、ちょうど首の下あたりからパカッと外れるはずです。
うん、とれますね。よかったです。少し切りきれていなかったところはありましたが、手でちぎれる程度でした。
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