第16話 一段落付きました
とれた肋骨を横にどかして、一度お腹の中にたまった血をきれいにします。どうせこの後もたくさん残っている血が出てくるとは思いますが、たくさんたまってから吸い取るよりも今やってしまった方がいいでしょう。あまりにもたくさんだとナプキンで吸い取るときに加減できずにたぽたぽになってしまうかもしれません。最終的に大半を大学のトイレに捨てる予定ですし、持ち運びするときに血が出てきてしまうのはちょっと困りますからね。
安い二袋セットのものを買ってきたのですが、なかなかの速度でなくなっていきます。限界まで使えないので量が必要なのは仕方ないですが、少しもったいないような気がしてきました。トイレに流すのが一般的――なのかは分かりませんが、今考えると難しいことをしないでそうすればよかったかもしれません。トイレが詰まっただとか、まさか警察の手が及んだとかあって、便器に血が残っていたなんてあったら困るな、なんて考えていたのです。まあ、我ながら面白い処理方法だとは思うので最後までやるつもりです。
血の処理も一段落ついたので、肺をとろうかと思います。
さっき肋骨を切っていたときに分かったのですが、少しずつ肉を外しながらなら電動のこぎりでもある程度の硬さがあるところならいけそうでした。次切るつもりの気管であれば間違いなく切れるでしょう。
他に問題があるとすれば、次は間違いなく大量に血が出ることでしょうか。近くには心臓がありますし、肺には大きな血管が通っていたはずです。
ほかの臓器をずらしつつ、まだ残っていた少しの肋骨を避けて気管にのこぎりを当てます。少し強い弾力が刃を跳ね返しますが、問題なく切れていきます。血管や筋や膜やらが巻き込まれないように少しずつ切っていきます。
外せるようになったら血管を切って完全に身体から外してしまいましょう。
よし、近くの心臓も外してしまいましょうか。
切り終わったら、一旦この二つを冷凍庫にしまいにいこうかと思います。クーラーボックスにある腸とは一緒にしたくありませんからね。
心臓も肺と同じく簡単そうです。こっちも電動のこぎりで切ってしまいましょうか。包丁でもまったく問題なく切れそうですが、こっちの方が楽ですからね。一瞬で終わりますから。気を付けてさえいればいいのです。
心臓を左手でつかんで少し引っ張り、太い血管を切ってしまいます。これだけで終わりです。
切り取れたら、中の血を出してしまいます。新しいビニール袋に入れておきましょう。何度か握ったりひっくり返したりを繰り返し、ほとんど出なくなったら終わりにしておきます。口を縛っておいて、あとで処理しましょうか。今はとりあえず心臓と肺を冷凍庫にしまいに行くのが先です。
電動のこぎりをきれいにしたら、心臓の袋と肺の袋をもって一階に戻ります。
冷凍庫も空にしてあるので、まだ余裕はあります。でも、早めに小さくしてしまいたいですね。内臓いっぱいの冷凍庫に、冷凍食品とかあまったご飯とかはしまいたくないですから。ここから取り出したご飯はあまり食べたくないです。
ずっと同じ体勢だったので、少し身体が痛くなってきました。少し伸ばしておきましょう。
雨はさっきよりも強くなっているようでした。休みの日にまとめて洗濯しようと思っていたのに、これじゃあ明日はダメそうです。
では、残りの内臓もとってしまいましょう。肝臓と胃の下にあったあれそれと腎臓です。腎臓以外は全部つながっているようなので、まずはまとめて取り出しましょう。
肝臓は結構大きいですね。それに少し重いです。肺よりも重いかなと思います。
さっきまでの臓器たちと違ってあまり支えのないもののようでした。他の残りの臓器たちと何本かの管でつながっているだけです。血管もいくつか繋がっていたと思うのですが、いつのまにやら切れてしまっています。かろうじて体とこの臓器たちを繋げている血管を切ってしまえば終わりです。
これは肝臓と他のもので分けておいた方がいいでしょうか。肝臓とこの小さなこぶのような臓器は中身には触れていないでしょうからね。それを言ったらこの管じゃない部分もそうなのでしょうが、このくらいならまあ邪魔ではないのでいいとしましょう。中を洗う時もこの程度の大きさなら大丈夫です。
この二つを繋げていた管なのですが、切ったとたんに血ではない体液が出てきてしまいました。これは少し困りましたね。この袋も肝臓から切り離して、こっちも管と一緒にきれいにしましょう。
腎臓は上の方は切ってしまっているのですが、膀胱に繋がっている方は手をつけていません。手を付けたつもりはなかったのです。でも、切れてしまっています。これはもしかしてこのあたりの内臓を切っているときに間違えて切ってしまったのでしょうか。拍子抜けしましたが、まあいいでしょう。このまま取ってしまいます。
肝臓は冷凍庫、ほかのものはクーラーボックスにしまっておしまいです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます