幽霊と考察
駅までの道を歩きながら、今日一日で起こったことを整理していた。
様々な出来事があり、昨日までとは俺の日常は一遍したが、人の縁とは不思議なものだと感じれた日だと思う。
「マジで霊感持ちにとっては生命線だなこりゃ」
歩きながらブレスレットに目をやる。
校舎裏でのブレスレットを自分に登録する儀式――当初は胡散臭かったが、いざ付けてみたところ、幽霊から睨まれたって痛みは感じなくなった。
無害な浮遊霊の連中も俺を避けるように漂っている。
便利ではあるが考えれば考える程、謎は深まるばかり。
「これがあれば安心だな」
赤いオーラの幽霊を見てみる。
電線に立っている奴、家の屋根に座ってる奴、電柱の陰に隠れている奴、歩道に立っている奴といるが通行人は誰一人として、幽霊に気がつかない。
男の幽霊は時代劇で出てきそうな長着を着ているタイプと、手術衣のような服を着ているタイプに分かれている。その服には黒をベースに、大小不特定多数の白い斑点模様が付いているのだ。
女の幽霊は反対に白い色をベースとしたワンピースを着ているが、こっちの方は黒い斑点で全身をデコレーションしている。
男女の幽霊に共通している点は、着ている服の模様は色が違えど斑点模様だということ。
そして生気のない青白い顔に、目の周りは死化粧かアイシャドーを過度に塗りたくっているかの如く真っ黒。靴は履いていない、裸足だ。
また不思議なのが攻撃的な幽霊は浮遊霊とは違い、空を飛ばないし足もある。
幼い頃から見慣れてきたグロテスクな姿。この世に未練を残し死んでいく人間の行く末だ。
不思議と小さい頃からわかっていた点はあるものの、他のもっと本質的な部分は依然として把握できていない。
それと――
「あっそうだ。聞き忘れたこと、一つあった……」
俺が≪大切なモノ≫がゆ~わ~るどにあるという感覚が頭の中に出現し、それが母さんから貰ったブレスレットなのではとの仮説を立てた時だ。
母さんが書いたメモとか手掛かりを探すため、生前母さんが使っていた当時そのままにしてある寝室の机の引き出しを開けたのだが、妙な紙が入ってたのを発見したんだったっけ。
色んな出来事があり過ぎて、考える余裕がなかった。
漢字で「結界札」と書かれていた。
意味ありげな代物だったし、霊媒師に直接関係あるかは知らないが、明日にでも光華へ聞いてみよう。
電車到着予定時刻までは、あと五分。丁度いい頃に着きそうだ。
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