下校中の奇跡
すでに空は薄暗い。幽霊が周囲へいないか確認し終えた俺は、安心して生徒用玄関を出た。
雨は止んだものの、冷たい春風が俺を容赦なくなぶる。
「うぅ、寒いなおい」
たまらずポケットに手を突っ込んだ。
そして、アスファルトを踏みしめたところで、驚きの事態が。
「あれ、あの子、もしかして……」
霊感の疑いがある少女を目撃してしまったのだ。本日二人目である。
俺の前方。数メートル先を歩き、思わず目を見張るまでの美麗な銀髪が印象的な、金色のオーラを放っている女の子。
「霊感だけじゃねぇな。噂の銀髪少女じゃんかよ」
クラス、いや学校でも話題で持ちきりだという一年生の子だ。
美麗な銀髪。日本ではなく北欧にでもいそうなタイプの可愛らしい顔立ち。そして雪のように色白の肌。歩き方までどことなく上品な立ち振る舞いの彼女は、遠くから見てもトリプルSクラスの容姿を持っていると断言できるまでの女の子。
ともかく、人目(主に野郎)を引く要素満載であるのだ。
「光華とは違う感じの可愛さだな」
俺も遠目で数回は見たことがあった。
初めて見た時は、まさか光華の他にも霊感を持っているかもしれない人が同じ高校へいるとは思わなかったが。
観察するように、華奢な後姿をまじまじと眺めていた俺は、
「うわッ」
突然の突風へ肌を震わせたが、
「キャアッ!?」
衝撃的瞬間は見逃さなかった。
女の子はスカートをばっと抑え、キョロキョロとせわしない様子で辺りに人がいないか確認している。
だが彼女は気がついていたかは知らんが、近くにいたハズの俺を発見できない。
何故なら――
「ふぅ、思わず条件反射で隠れちまった……けど、いいもん見れたな~」
目撃した後、すぐに真後ろにあった玄関の柱へと隠れたからである。
記憶した。脳内ストレージへと、画像ファイルを保存完了。
アニメみたいに派手な捲れ方だった……突風、もとい神風がもたらした奇跡だったのだ。
Sクラス女子のパンチラを――形のいいヒップを柔らかに包んだ、黒いストッキング越しの真っ白なパンツを比較的近距離で目撃してしまった。
ストッキング越しというのが、俺の中のポイントを上げていた。見事である。
惜しむべくは日のある時間帯であったならもっと鮮明な色に形が見えていたハズだと思うのだが、こればかりはどうにもならないであろう。
女の子は誰にも見られていないと安心したのか、ホッと一息をついてから何事もなかったかのように校門へと歩いて行った。
「しても、ラッキーだな。一日に二度も可愛い子のパンチラを拝めるとは」
俺は感動のあまり、涙を流しながらガッツポーズをしてしまってした。
こんな日はそうそうないだろう。
細くスラっとした足の合流地点、引き締まった形のよいお尻は素晴らしかった。
満足気分のまま今度こそ帰ろうと、軽快にスキップを踏みながら校門へと向かう。
つらいことばかりだと不公平である。
今日の起きたピンク色の出来事は、俺の霊感の苦労を一掃してくれるまでに気分を良くしてくれたのだった。
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