盗賊団の女頭目。その名を――

その女は生前、メネス王国王都ナダン郊外の峠を拠点としていた、ある盗賊団の女頭目であった。峠を越える旅人や行商を襲うのは日常茶飯事、そして附近では飽き足らず広範囲にわたり村々や旅籠を襲撃しては略奪と殺戮行為を繰り返していた。

 邪神シュマを信仰していた同盗賊団。残虐過ぎた彼女らは人々からその手先だと大層恐れられたのだ。

 事態を重くみたメネス王国は王国軍剣士隊の中から討伐班を編成し、峠に出発。根城に違いないとされていた洞窟に潜んでいた盗賊団を発見、強襲する。

 激闘であった。女頭目は残る一人になりながらも、恐ろしき強さをもってして抵抗した。

 メネス王国が誇る精鋭達を次々殺めていったのだが結局数には勝てず、とうとう捕らえられたのである。

 女はナダン中央の大広場にて王家、王国高官、そして民衆が見守る中で公開処刑されたのだった。

 このメネス王国を震撼させた盗賊団の女頭目。その名を――

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