エピローグ
グレーヴ広場から飛ばされたソフィーは何処かも解らない場所に飛ばされ呆然としていた。
以前、ピシュグルに助けられた時もこんな風に身勝手に戦いの場から退けさせ、生きてい欲しいと願われた。
〈どうしていつもこう死に損なうのかしら…〉
その上、今度は
〈コレからどう生きろ…と…〉
そう思っている彼女に声が掛かった。
「もしも~し」
驚いてソフィーが振り向くと胸元を開けたドレスを着た黒髪の30代の女性の姿が目に入った。
「おっと、ようやく反応した」
急に動いたからか相手の女性は少し驚いたように体を反らした。
「いきなり現れたと思ったらボーッとしてたから心配しちゃったわよ」
「そう…お気遣い感謝いたしますわ…」
「元気がないわね。悩み事?」
そう聞かれるもソフィーは答えなかった。
「よし! じゃあ私が特別に占ってあげましょうか」
「占い…」
「そうよ。貴女もパリに住んでいるのなら聞いたことがあるんじゃない凄腕占い師マリー=アン=ルノルマンの名前を!」
「いいえ」
そういわれるとルノルマンはガックシとした様子で落胆する。
「いいわ、なら本当に特別の特別で
そう言われてソフィーは聞いた。フランスの行く末を
「この先の未来ね。それは昔、私が占ったことがあるわ。ズバリッ! フランスは王政に戻るでしょう!」
「ッ⁉ 本当に!!」
ソフィーは目を見開いて思わず声を大きくするが、占いにはまだ続きがあった。
「でも長くは続かないわ」
「え…」
「最後には共和制ね…皇帝も王様も居ない。これがフランスの未来。以上」
そこから一息分の沈黙を経てソフィーは質問した。どうすれば、その未来は変わるのかと
「残念だけど、これは変わらないわね」
「それじゃあ
「他のことを占って欲しいのなら流石に代金を頂くけど、それでも良い?」
一文無しの自分にはそんな事は叶わないがために彼女は黙った。
「でも、そうね…一言 言うとしたら、私たちには、ただ神の成す
「なら何故、貴女は占い師なんてしているのかしら?」
「んー…お客さんにもよるけど、基本的に運命を示すことで受け入れる準備を整えさせてあげたり、受け入れられない人の苦しみを和らげられるように導くのが私の使命だと思っているわ」
「運命…」
そう言われてソフィーは自分の運命について考える。死に損なったこと。生き長らえたこと。託された思い…
自分は意志を貫いて死ぬべきよりも生きるべきなのだろうか…そう考えた。
「いいわ…だったら生き抜いてみせる…未来が変わらないと言うのなら見定めてあげますわ。
「悩みは消えたかしら?」
「ええ……感謝いたしますわマダム」
ソフィーはそう一言 言い残して去っていた。
その後の彼女の足取りは掴めていない…歴史の裏舞台に消えたのか…はたまた、この国の行く末を見送ったのか、それは誰も知らない…………
※
1804年某日。エミール=ジョゼフ・エルヴァが死んでも世界は回っていく……
この先。歴史によればナポレオンは1812年にロシアに敗れ、その栄光を失い帝政は終りを告げ再びフランスは王政へと戻った。その後も共和制。帝政へと右往左往しながらもフランスは共和制へと落ち着いていくこととなる。
後世。この〝芸術〟と〝魔術〟の地にフランス革命によって人生を変えた者たちについて語られるだろう
その裏側で〝魔道芸術〟を武器に戦う者たちが居た―――。
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