あとがき2 実在の芸術と魔術に関する話
遅くても1週間に1度は上げようと思っていたので、前回、出来上がった限りでアップしたために前後編になってしまいました
今回は作品内に出てきた芸術について少し説明をしようと思います
星の冠(Circle of stars)
4話で登場した12の星が輪っか状に並んだ冠
団結、連帯、調和、不滅の象徴を持つため欧州旗のデザインに使用されている。その他にも12個あるので十二星座との対応してるとも言われている
聖母マリアの絵や像にも見ることができるので今後 頭の上の星の輪を見たら12個あるか数えてみるのも面白いかもしれません
警察省の擬人像(MINISTERE DE POLICE GENERALE)
ピエール=ポール・プリュードン(Pierre-Paul Prud'hon)[1758年4月4日~1823年2月16日]が描いた警察省を擬人化させたイラスト
メドゥーサの首をネックレスのように身に付けて左手に松明。右手に鏡を持ちその隣に鶏が配置されている椅子に座る女性の姿が描かれている
松明によって暗い闇を払い鏡によって真実を写し出すといった意味を持つ絵
作中ではフーシェが所有する魔導芸術として登場させている
作中では深く掘り下げていませんが普段は紙に描かれた絵を筒などに丸め込んで入れて持ち歩いてる
ちなみに『ラテン語の抽象名詞の多くが女性名詞であるため、慣習的に女性の姿で表されることが多い』(平凡社世界大百科事典のアレゴリーの項目より一部引用)
ライオンマン
約32000前に作られた世界最古の動物形象彫刻
ライオンの頭に人間の体を持つ姿をしているが何を思って作られたかは不明
一説では獅子のような強さへの憧れを表してるとか儀式に使われた物だとか様々な予測がされている
作中ではライオンマンの名称があまりにダサかったので別名のレーヴェンフラウを起用
ちなみに
ルガールの槍(Spear of Lugal)
キシュ王朝の王または高官に献上された紀元前2600年頃に存在した青銅の槍
穂先にはライオンが描かれている
現在では槍の穂先がルーブル美術館に所蔵されてる
アルガディ・オブ・アンディロン(Chenets de l'Angarde)
イタリアの彫刻家アレッサンドロ・アルガディが17世紀頃に作ったアンディロン(薪を支える暖炉用器具のこと。薪を支えることで下に空気を取り込むスペースが生まれ燃焼効率がよくなる道具。英名:Andiron)
頂上に雷霆を握るゼウス。その下に風の象徴の鷲。水のシンボルを持つネプチューンが居り一番下には土の象徴のタイタンが配置されたデザインの芸術品
上記と同じくルーブル美術館の所蔵品の一つである
ジャルディネッティリング(Giardinetti ring)
17世紀~19世紀初頭のヨーロッパで庭園が流行した影響から生まれた宝飾様式の一つ
花束や花籠のようなデザインをしているのが特徴である
作中では指輪として登場していますがジャルディネッティ(Giardinetti)自体が宝飾様式の一つを指す言葉なので必ずしも指輪の形をしているワケではない
ジャルディネッティはイタリア語で小さな庭を意味するのでGiardinettiで検索しても出てこないので興味のある方は日本語でジャルディネッティもしくはGiardinetti ringと入力して検索する事をオススメします
続いて魔術について
本作では基本的に社会人類学者ジェームズ・ジョージ・フレイザーが発見した〝共感の原理〟を基に魔術を創作しようと思っています
ただ時々、メルゼブルグの呪文のような実在の呪文を出したりオリジナル要素も多少 混ぜるつもりですので宜しくお願いします
共感の原理
関連性があるもの同士 見えない繋がりが存在するという仮説
降霊術や悪魔契約といった例外はあるものの古今東西に存在する魔術の多くはこの架空法則から双方が見えない繋がりを通じて互いに干渉し合っているのであれば、一方に及んだ影響はもう一方にも影響を及ぼすであろうという考えを基に成り立っている
メルゼブルグの呪文
9~10世紀頃に存在した呪文
有効な一連の繋がった言葉を唱えることで、魔法の力が人々の願いを叶える助けとなると当時のゲルマン民族は考えていたそうです
本作の時代は1803年なので1841年に発見されたこの文章を彼らが知っているのは本来おかしいことですが、テキスト自体は発見される前より昔には存在はしているのでこの世界では口伝か何かで魔術師の間では有名だったという設定で溜飲を下げて貰えたらと思います
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