第4声 フェンディとアトラディ!二人は仲良し!

 アトラディ「単刀直入に言うわ。あなた、死んでるわよ。」


 龍馬りょうま『……どういうことですか?アトラディさん』


 龍馬は、進められた椅子に座る。フィンディは、しがみついたままなので、膝の上にのせる形になる。そして、フィンディの胸があたる。


 アトラディが、スッとティッシュを差し出す。


 「まずは、鼻血を吹いてください…」


 『あ、ありがとうございます…少し興奮しまして…』


 「落ち着きましたか?」


 龍馬は、少し照れながら頷いた。(コクり)

 フィンの胸がまだあたっている。龍馬は、半もっこりした。


 「あなたからは、神素しんそが微塵も感じられないの」


 『…しんそって、なんですか?』


 龍馬がそう聞くと、アトラディは目をパチパチさせながら答えた。


 「神素を知らないんですか?うん、だいたいのみ込めれたわ。あなたのこと…神素って言うものはね、この世のあらゆる物や事象、特に生命体に含まれているもので、物理現象と相互関係にあって、うんぬんかぬん…」


 10分経過…


 「…つまり、人は無から有はつくれないってこと、と言うことなのよ」


 『なるほど、わかりませんでした』


 と言いながら龍馬は、思考を整理した。

 (なるほど、1日の時間や暦の数え方、数字(10進数)、物理法則も同じで、エネルギー保存の法則もある。だけど、エネルギーの一つに神素と言うものがあり、何にでも変換可能かつ、ここの人は自分の意思でこの神素を利用して色んなことができるってことか…

 現状、ある程度、信じるしかないな。ティッシュもあるし、二人ともおおらかで優しい感じがするし…な)


 「ん~簡潔に言うと、私は神素を感じ取れるんだけれど、この世界の根元と言っても良いその神素があなたにまるでないの!もう、空気よ空気!生き物として機能していることが奇跡なの!」


 アトラディの言葉により、龍馬は別の世界に来てしまったと再確認できた。しかし、龍馬にとって重要なことは、彩子がこの世界にいるかどうかだけだ。


 フィンディがもぞもぞし始めた。


 「あたってる…(///∇///)」小声


 『胸はあたってるな(小声)…!?ごめん!いや!ありがとうございます!』


 アトラディは、龍馬の慌てぶりに一度目をつむってから質問をした。


 「まあ、落ち着いてくれ。りょーま、まずは君について教えてくれないか?りょーまくん、君はどこからきたの?何者なの?」


 (落ち着け、冷静になれ!しずまれ!オレの息子よ!僕が好きなのは彩子だけ彩子だけ彩子だけ…ふぅ)


 「あ、萎えちゃった…」


 フィンディは、そう言うと、掴んでいた服を離して、テーブルに腰掛けた。


 「フィン!りょーまさんが見てるでしょ、恥ずかしいから!降りなさい!」


 アトラディは、フィンディを叱ったが返事は軽い。


 「はーい」


 龍馬はフィンディと目があった。


 「えっち…クスクス」


 「すいません、りょーまさん。それで、教えてくれませんか?あなたのこと」


 『さんを付けなくていいですよ。たぶん、二人とも私より精神年齢は上だと思いますので』


 「そうですか、なら私もアトラで良いですよ」


 「僕も僕も!フィンでいいからね?りょうま!」


 フィンは、龍馬の隣に椅子を出して名前について返事をしながら素早く座り、龍馬の顔を見つめながら続けて聞いた。


 「りょーまちゃんは、何歳?私は1919(イクイク)才よ・・・クスクス」


 龍馬は、自分が住んでいた世界のこと、自分の置かれた現状、彩子と言う少女を探していることを説明した。

 龍馬は、情報の重要性をしっかり理解している。しかし、現状、時間がないかもしれないという焦りと打算から、この場では誠意を見せて二人から協力を得ることに注力した。


 アトラディは、口に手を当てて答えた。


 「にわかには、信じられないわね…こことは異なる世界から来たってことでしょ?うそ…って訳では無さそうね」


 『何か、彩子の手掛かり、ここに来ていると言う確証だけでも欲しいんです』


 アトラディは、また一度目をつむり答え始めた。


 「その…彩子さんを愛しているんですね…」


 「!?びくぅッ!ふぇ?」


 フィンは、大袈裟に驚いていた。


 『そうです。彩子を幸せにしたいんです。できれば、僕の手で…』


 「どーてーくさ。ふん!(でも、おっきかった。面白いしなぁ)小声」


 アトラディは、フェンの言葉は無視して丸まった地図をテーブルに広げた。地図には2つの大陸が描かれている。


 「これが、この世界の世界地図よ。こっちが女神の大陸まあ、国よ。で、こっちが邪神の国」


 『分かりやすいですね』


 龍馬とアトラディは少し身を乗り出して話した。


 「まあ、名称はあれだけど、どっちも豊かで平和な国よ」


 『意外だね。何か違いがあるの?』


 二人の顔が近づく。


 「う、うん、じゃあ説明するね。りょうま…くん」


 『ありがとう』


 アトラディの顔がすこしだけ赤らんだ。


 「えっと…、違いは、考え方にあるんだけど、まず、簡単に国の成り立ちを説明させてくれ」


 「2つの国のトップは男女3組の計6人がいて、この人たちが国を納めている神徒と呼ばれる存在なんだ。こいつらは遥か昔からいて、神の体から創られたらしい…」


 『らしい、ですか?』


 龍馬が息がかかりそうな距離でアトラディの顔を見て質問すると、アトラはうつむいて地図を見たまま小さい答えた。


 「あいつらがそう言ってたもん。私たちは最後だったから知らないもん…」


 アトラは、龍馬と一瞬だけ目を合わせ、椅子に座り直した。


「…でね、考え方の違いっていうのが、馬鹿げてるんだけど、女性を愛するべきか、男性を愛するべきかで、討論したりして争っているのよ」


 『そうなんですね。ちなみに、私たちの今の場所はどこですか?』


 フィンが龍馬の肩口から地図を指した。龍馬に、フェンディの胸が当たる。


 「ここだよ。女神の国で、この辺り」


 『ふーん、じゃあ二人は、女性を愛しているんですか?』


アトラが頬杖をついて答えてくれた。


 「あいつらの話よ。私達は関係ないわ。そもそも、有性生殖は、私達の機能上ほぼ失われているのよ。女性男性の区分事態が古くさいのよ」


 「気持ちいいことは、気持ちいいんだよ♥️」


 フィンは、こっちを見て笑顔で言った。


 「いらんこというな!まあ、いいか…そもそも私達が子供を持つときは、二人の体の一部(髪の毛とか)を用いて、神素を大量にかつ長時間使って、神徒たちに許可を得てかつ手伝ってもらって創るのが一般的なの…私達は、基本的に死なないからね…」


 アトラディは、最後だけうつ向きながら話してくれた。


 …


 『そうなんですね。あと、けっこう、神徒ってフランクに呼んでも大丈夫なんですか?』


 二人は答えた。


 「大丈夫大丈夫無問題よ!あいつらなんか呼び捨てで十分!」


 「もーまんたい、もーまん○いぃッ」

 げんこつ!


 フィンディに「コツンッ」とアトラディから拳骨が喰らわされていた。


 「こら!フィン!」


 『仲がいいんですね。ある程度わかりました!本当にありがとうございます!最後なのですが、

 別の世界から、彩子を連れてくることができる所とか人、理由がある方を教えてもらえないでしょうか』


 …少しの間が空いた。


 (焦っているな…落ち着こう…)

 龍馬は、落ち着くように心の中で自分に言い聞かせた。


 アトラディは、地図上の一つのマークを指差しながら言った。


 「…うん。そんなことができるのは、神か、神徒たちくらいね。で、女神の、この国の神徒の可能性が高いと思うわ。あと、神徒はここの都の城にほぼ全員住んでいるわ。まあ、ここから、北にこの道を200キロくらい行ったくらいのところね」


 アトラディは、龍馬が欲しい情報を端的に話してくれた。


 『都に神徒ですね。わかりました。ありがとうございます!』


龍馬はそう言って立ち上がった。


 「……私の言ったこと信じるの?」


 アトラディは、龍馬の目を見ていった。


 『もちろん!僕の目は、節穴じゃあない。二人とも一目で分かりましたよ。強く優しく誠実な方たちだなってね。私にはそれだけあれば信用するには十分なのです!』


 アトラディは、まだ龍馬の目を見ている。

 少し、龍馬は照れた。


『なんと言っても、僕は僕の目を信じています…彩子を愛すべきだと判断した僕の目を…自分自身を信用してますから!人を見る目はめちゃくちゃありますよ!

 では、本当にありがとうございました。また、会えたら何か奢りますよ。では、おじゃましました』


 「お金持ってないじゃん!ばーか!もっとギャグ言えよ!」


 「どーせ、暇でしたので気にしないでください。(愛すべきだと判断した自分の目…自分自身を信用か…)」


 二人ともフランクに悪態をついてくれた。

 龍馬は、玄関で靴を履き、振り返って二人を見て言った。


 『そーだ。子供への手品てじな用で髪止めを持っていましたので、これをあげますよ。別の世界のものですので、もしかしたら高い値がつくかもしれません。向こうの世界でも少し高かったのでいいものだと思いますよ』


 と言いながら、龍馬はおもむろに学生服から、髪止めを2つとり出してフィンディとアトラディの手の上に乗せた。

(新品なので、袋入りだ!)


 「やっぱり変態だぁ!クスクス」

 「ありがとう!」


 ぱぁあ!


 二人は目を輝かせながら龍馬の目を見て言った。


「「男からのプレゼントは、りょーまちゃん(くん)が初めてだぞ!(よ!)」」


 ※※※※次回予告※※※※

 龍馬は、二人の家を出ていった。足どりはこの世界に来たときとはまるで違い、かろやかである。それは、必要な情報を得たためなのか。可愛い娘?たちに会えたためなのか…それは、龍馬もわからない。だが、守るべき愛する人はそこにいるのか?アトラディの話は本当なのか?なにもわからないな中、少し高揚して街道を走る龍馬には、左手の彩子の感触が変わったことには気づけないだろう…

 次回第5声「始動!最強!横島龍馬!」

 君は生きる目的を持っているか…

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