第3声 情報収集と要求
龍馬は、建物に向かいながら考えた。
(色んな疑問がたくさんある。だが、一番重要なものは、今、自分の手の中にある。最短最速でこの手の中にあるものがこぼれ落ちる前に、たどり着かなきゃあならない。)
(情報を集めるんだ。五感を集中しろ。時間が無いかもしれないんだ。ここは、リスクを取っても情報が欲しい。)
建物の周りには、小さな畑と獣避けの柵、郵便ポストのようなものがある。
(人?が住んでいそうだな。社会性は、少しは期待できるだろう。言葉は、通じないかもな。もしもの場合を考えて建物から離れて呼んでみよう。)
『ハロー!すいませーん!』
龍馬は人の気配を感じた。
建物のドアからひょっこり10~12才くらいの
「は~い」
(胸がおっきい。いや、言葉が通じた?…彩子に似ている?落ち着け、焦るな…「Hi」?英語?いや、「はい」か…たぶん日本語が通じたのか…言葉が通じるのならば、都合が良い、状況掌握だ!)
龍馬は、色々考えたがすぐに日本語で返事をした。
『いやぁ!出てきてくださりありがとうございます。美しい顔立ちですね。』
ニコ!っと笑顔を作り、
『わたくし、よこしまりょーまと申します。お話したいことがあるのですが、少しぃお時間いただけませんか?』
捲し立てるように言うと、女の子は小首をかしげた。
(…言葉が通じてないのか?英語だったか?それとも、何か他の理由が…)
女の子「君は、どこからきたの?」
(言葉が通じる。よかった…ここは、日本?いや、建物の形、畑?家庭菜園?の植物、木の棒を拾った時に見た虫、2つの太陽・・・確実に日本、いや、地球上ですらないはずだ)
龍馬は、満面の笑みで答えた。
『にほんと言う国から来ました。よこしまりょーまと申します。フランクに下の名前でりょーまと呼んでください。』
ニコ、また龍馬は笑顔を作った。
「わかりました。じゃあ、ちんこさん、何が聞きた…クスクスッ」「ッハハハハ!下の名前でちんこさん、ナニがキクっつって!フフフフクスクス…」
女の子は、ずっと一人で笑いを堪えている。
(変態だ!なんとか合わせてみるか…たぶん…日本語も通じるし、大丈夫だろう…)と、龍馬は考え、流れに合わせた。
『下ネタお好きなんですか?奇遇ですね。私もです。』
「クスクス、あー面白い、ぷークスクス」
『下のお名前を伺ってもよろしいですか?』
女の子「私の下の名前は、まーンッ・・・おほん、フィンディよ」
『一文字目が(ま)ですらないやないかーい!フィンディさんですね。よろしくお願いします!』
龍馬は、にこやかに突っ込みを入れ、流れに任せて知りたい情報を聞きはじめた。
『早速なんですけど、ここの位置を教えてもらいたいんですが…他にも…』
「まって。僕は何が聞きた までしか言ってないよ。ん~…まあ、暇だし教えてあげてもいいんだけど…」
フェンディは、ニヤニヤし始めながら龍馬の言葉を遮った。
「教えてあげるのに条件をつけさせてもらいます!」
『条件ですか、なにも持ってないもので、払えるものは、私の身体しか無いんですが…』
「ナニも(持って)無いって、ぷークスクス。…ふぅ…クスクス」
龍馬は、少し焦りを感じていた。
(焦るな。落ち着け。情報を貰うのが最優先だ。準備100%…左手の感触は暗闇のときより薄いが、彩子が生きていることは感じられる。)
フィンディは、片手を腰に手を当てて声色高らかに言った。
「条件は、超難しいよ!それは、僕を一発ギャグで笑わせてくれること!笑わせてくれたら何でも教えちゃう!」
龍馬は、即答した。
『一発ギャグですか…では、一つ』
龍馬は、胸に手を当てる。フィンディは、即答なことに驚いたようすで目をパチパチさせながら龍馬を凝視する。
龍馬は、胸に手をあてて頭を下げた。
『手ブラですいません。』ペコリ
フィンディ「ぷッきゅーーー!」
龍馬の渾身の一発ギャグが炸裂した。
ドアから腹を押さえたフィンディが転がり出てくる。フェンディは、涙とよだれを垂らしながら、苦しんでいる。
『(過呼吸になってる)大丈夫ですか?!』
声色から感じられる驚きとは裏腹に、龍馬は状況を冷静に観察した。
そして、フィンディの背中を支え、胸に手を当てさせ、顎を少し上げ気道を確保した。
『落ち着いて、ゆっくり呼吸をしてください。』
フィンディ「すーはー、すーはー」
フェンディは、紅潮した顔で支えてくれる龍馬の顔を眺めた。
スッ…キラッ
何かが先程までフィンディがいた位置できらめいた。
きらめきの方向を龍馬は見た。そこには、フィンディと同じ顔をした女の子がドアから出てきて立っていた。
(フィンディが赤い髪でもう一人が銀髪か…もう、完全にファンタジーだな。え?包丁?)
女の子の手には包丁が握られている。
女の子「何してるの?妹をたぶらかすとはいい度胸ね」
包丁が光っている。
龍馬『えーっと…落ち着いてください。』
…暫しの沈黙の末、女の子が口を開いた。
「冗談よ。フィンを家の中に入れてちょうだい」
『あ、はい。おじゃまします』
龍馬は、フィンディを抱えて家の中に入った。中は、まず玄関があり、靴が何足か並んでいる。どうやら、文化も日本と同じみたいだ。
龍馬は、靴を脱いで上がった。
(フィンディが妙に強く僕の服を掴んでいる。ここは、意識しないでおこう。)
「フィン!いつまでヨコシマさんにしがみついているの?」
フィンディ「もう少し…」
龍馬は、平静を装っていた。
(フェンディの胸があたっている…意識するな!オ☆レ!)
「ごめんなさいね、よこしまさん」
『いえいえ、ご褒美です』
「そ、そう…それなら、よかったわ…遅れましたが、私の名前はアトラディよ。よろしくお願いするわ。あと、外の話し声は、聞こえていたから」
『そうですか、でも一応、僕は横島龍馬と言います。よろしくお願いいたします。』
アトラディは、少し間をとって答えた。
「紳士な人ね…言いにくいのだけど…単刀直入に言うわ。あなた…
…死んでるわよ 」
龍馬『……』
※※※※次回予告※※※※
男は死の宣告を受けた。
男は自分の死ではなく、好きな女の死を連想する。
恐怖の中でも希望を捨てるな!
次回第4声 フィンディとアトラディ!二人は仲良し!
君は今、何を思い、何を感じているのだろう…
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