神官編
1話-1 神官
「巫女様、これからわたくしたちは貴女に一生を捧げます」
「よろしくお願い致します」
二人の男の人がわたしに頭を下げてくる。慌てて手を振って顔を上げさせると、彼らは柔らかく笑って手を差し伸べてくれた。
「畏まらないで、と言われましても。わたくしたちは貴女の手となり足となり働くためにいるのですよ、巫女様」
そう言われても、やはり居心地が悪いものは居心地が悪い。そう伝えると彼らも納得してくれたようだった。安心する。そもそもわたしが巫女になっているなど未だ信じられない話なのに。
薄紫色の髪をした男の人が、そっと話しかけてくる。
「それで、神さまの声は聞こえましたか?」
首を振る。神さまは簡単に言葉をくれるわけではないらしい。彼らは笑って、それでもいい、と言ってくれた。わたしが、巫女がいることこそが国の安寧そのものなのだから、と。本当にそれでいいのだろうか。
「わたくしたちは貴女に仕えるただ二人の神官。ご用命とあれば、何でもいたします」
預言者である巫女の、さらに預言者として。
彼らはそう口を揃えて言って、またわたしに跪いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます