神官編

1話-1 神官

「巫女様、これからわたくしたちは貴女に一生を捧げます」

「よろしくお願い致します」


 二人の男の人がわたしに頭を下げてくる。慌てて手を振って顔を上げさせると、彼らは柔らかく笑って手を差し伸べてくれた。


「畏まらないで、と言われましても。わたくしたちは貴女の手となり足となり働くためにいるのですよ、巫女様」


 そう言われても、やはり居心地が悪いものは居心地が悪い。そう伝えると彼らも納得してくれたようだった。安心する。そもそもわたしが巫女になっているなど未だ信じられない話なのに。

 薄紫色の髪をした男の人が、そっと話しかけてくる。


「それで、神さまの声は聞こえましたか?」


 首を振る。神さまは簡単に言葉をくれるわけではないらしい。彼らは笑って、それでもいい、と言ってくれた。わたしが、巫女がいることこそが国の安寧そのものなのだから、と。本当にそれでいいのだろうか。


「わたくしたちは貴女に仕えるただ二人の神官。ご用命とあれば、何でもいたします」


 預言者である巫女の、さらに預言者として。

 彼らはそう口を揃えて言って、またわたしに跪いた。

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