うだつの上がらないエッセイ集（たまに自由研究）

ファミリーアニマル（ファニマル）

　私は動物のちょっと困った顔が好きだ。

　といっても動物が飢餓や環境破壊に苦しんでいるといった深刻な問題のことではない。動物が本気で困る状況は一刻も早く改善してほしい。私が好きなのは、いわゆるペットである動物が、お気に入りの場所を仲間に取られたとか、ボールが取れないところに入ってしまったとか、そういったときにちょっと困っている様子なのだ。

　……ところでこの「動物」「ペット」といった言葉、連呼されると少々違和感がある人もいるだろう。

　他にもうちょっと柔らかい言い方はないのだろうか？

　動物に関しては「動物たち」とか「動物さん」とか何か付けたり、「どうぶつ」とひらがな表記すると多少柔らかくなるが、ペットのことを「お子さん」とか「家族」とか言うと場合によってはややこしくなるだろうし、誰のことを指しているのか分かりづらい。かといって勝手な造語を生み出して使ったら、多くの人はハテナを頭に浮かべるだろうし……。

　何かないのだろうか。分かりやすくてどこででも使えて、すべてのペットに当てはまり、多くの人が違和感なく受け取れるような言葉は……。

　と、ここで思いついた。シンプルに「ファミリーアニマル」で良いんじゃないかと。

　それだと長いので、浸透してきたらファニマルと略すのも良いかもしれない。ファミリーアニマルなら意味的に違和感を覚える人はほぼいないのではなかろうか。

　言葉だけの問題じゃないとは思う。言葉は使う人によって印象が変わってくるだろうし、「動物」「ペット」という言葉を頻繁に使ったって、そこに愛があれば伝わるはずだ。言葉の使い方で言い争って本当に改善すべき点がおざなりになっていたら意味がない。

　けどまずはこうして言葉について考えてみたりするのも良いのではないだろうか。

　……と、動物たちのための行動もできずファニマルもいない偽善者の自分は思っている。

＊

　ところで今回のファミリーアニマルやファニマルという言葉、自分で思いついたのだが、検索してみるとどちらの言葉も既に存在していた。

　いつもそうだ。自分だけが何かを思いつくことなんてあり得ない。小説のタイトルでも造語でもネタでも、「こんなのどうだろう」と思って検索してみると大抵既に存在するのだ。

　そんなわけで私にはオリジナルな発想というものがほとんどできない。独創力や個性がないのだろうか。

　今日もうだつが上がらない……。