「怒らせると怖いタイプ」が気になる
「怒らせると怖い人」というワードになぜだか魅力を感じてしまう。
何でだろう。どこかおかしいのだろうか。
もしかしたらあらかじめ危険な状況を記憶しておいて避けようとする本能なのかもしれない。定期的に「怒らせると怖いタイプ」などでついウェブ検索してしまう。
噂によると普段は優しい人、おとなしい人などは怒らせると怖いらしい。小学生の頃くらいからそんな話はよく聞いた気がする。
……怖いってどのくらい怖いんだろう。あと何をしたら怒られるんだろう。怒ったところをちょっと見てみたい気もする。
しかし怒りは発する側も受け取る側も疲れるのだし、多くの人にとってはできれば使いたくない最終手段だろう。怒ったところを見たいなんて言うのは非常に失礼で不謹慎だ。
こんなことを思うなんてやっぱりおかしい。大体私はのろまで不器用で味方してくれる友達もいないため人から怒られるチャンスは多々あるが、そんなのちっとも嬉しくないのだ。小心者なので、人から怒られる夢を見ただけでビクビクしてしまう。
そんな状態なのに怒る人が気になるだなんて、あまりに怒られる機会が多かったために脳がバカになっているのだろうか。怒られるストレスを和らげようとして脳が快楽物質を出すようになったのかもしれない。いや、それはマゾの一種か。
ただ……アニメのキャラを好きになるように、「怒らせると怖いタイプ」に惹かれているというのはあるかもしれない。
日頃の行いが良い人や滅多に怒らない人が怒った場合、それは貴重な瞬間に違いないし、言っていることもきっと筋が通っていて非常にありがたいお言葉に違いない。心して聞くべきではなかろうか。
もしかしたら人は、日頃の行いが良い人にこそ、ビシッと言ってもらいたいという願望が潜在的にあるのかもしれない。日頃の行いによって言葉の重みや印象は変わってくる。いわゆる「良い人」から受けるお叱りは破壊力バツグンなのだ。
ああでもやっぱり、普段優しい人から怒られるなんて耐えられない。そんなことがあったらショックのあまり三時間失神したあと、二週間は寝込みそうだ。実際小学生の頃に優しい人から怒鳴られたことがあるが、未だに頭から離れない。
私は人を怒らせる才能だけはあるから、きっとまたいつか優しい人から怒られるだろう。そのときは動揺のあまり一言も耳に入らないだろうが、火に油を注ぐようなことだけはしないでおこう。
そんな私は短気で、機嫌が悪くなるとすぐ態度に出ると言われる。しかし私が怒っても「落ちこぼれの分際で何怒っているんだ!」と返り討ちにあうことが多い。
落ちこぼれには怒りを顕わにする資格もないらしい。なるべく謙虚に振る舞っていよう。
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関連エッセイ
「夢の女の子 & 夢のお叱り」
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