死も年齢も上下関係もいらない
人は年齢で人を見る。自分のことも年齢で見る。誰の目も気にせず楽しんでいた遊びも、大人になるにつれやらなくなっていく。子どもの頃より存在意義を求めるようになっていくだろう。
年齢なんてなければいいのに。越えられればいいのにといつも思う。
ある日、夢の中で部活の後輩と楽しく喋っていた。どの道、対人恐怖症な自分にはこんなことはできなかっただろうけど……。夢の中では同級生になった後輩に「初めまして」と声をかけて友達になっていたらしかった。
夢が終わると同時に温かい気持ち、そして虚しさがこみ上げた。色んな意味でこんな展開あるはずがないのに。
物が永遠の命だったら、消耗しなくて済む。
肉体は物だ。物だから壊れてゆく。
何一つ壊れない世界なら良かったのに。
もしも生まれ変わりが本当にあるとしたら、みんな生まれ変わっていて、前世を覚えていないだけなのだろうか? 親は子に、先輩は後輩に、上司は部下に、永遠にグルグル回っているのだろうか。どこか越えられない壁を抱えながら。
人が恋をし、子を愛し、家族になるのは、この「越えられない壁」を越えたいからだと思う。けれど最初から壁がなければ、あえて家族という形態をとる必要はなかっただろう。物や肉体が壊れない世界なら、そもそも繁殖のシステムもないだろうし、今いる地球上のメンバーで変わらず仲良くやっていくはずだ。
上下関係その他の壁がなければ、誰とでも友達になれたはずだ。「特別な人」「大切な人」を見つけなくたって、すべての人を愛せただろう。
あれもこれもなければ良かった。
……そんなこと言って何になるのだろう。ただ、小説なら許される。時を越えて友達になることも、何も失わない世界を描くことも、弱肉強食を無視することも。実在した人物のイメージを覆すことだって可能だ。
現実逃避だと言う人もあるだろう。ただ、今見ている現実が本物だという証拠もない。すべて本当は夢の中なのかもしれない。
だから私は空想する。せめて形を持たない空想を、文字という現実に書き換えたい。
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