第2話 休まらない1日 前編

 時間は戻り、、、現在


「おはよ~」


「あら?おはようヒロキ。いつもより起きるのが早いのねぇ。」


 俺の母さん。名前は宮下京子みやしたきょうこ。とても明るく元気な人だ。

 …明るすぎて俺にはちょっと眩しい


「んや、昨日は早く寝たから、起きるのも早くなったんだよ。」


 好きな人の夢を見て飛び起きた...

 なんて言えねぇよなあ。


「あらそうなの。朝御飯の準備がまだだから、先に身支度済ませてきなさい。」


「は~い。わかったよ母さん。」


 顔を洗って、歯を磨いて

 服を着替えて……

      ーーーーーーー

 あぁ、彼女の顔が頭をよぎる。いつもと同じことをしてるのに、気が散っていつも通りにできない。


 あれから1ヶ月が経ったけど、、、

 俺はヘタレみたいだ。まだほとんど話せてない。席替えをしてないのが救いか...。

 …今日も話せず仕舞いだろうけどな。


「朝御飯できたわよー。冷めるからはやく来なさーい。」


 俺はすぐに着替えを終わらせ、リビングへ急いだ。


「今日は早く起きて時間あるから、ゆっくりしていきなさい。」


「いただきます。」


「はい、どうそ~。」


 うちは俺と母さんの2人暮らしだ。母さんは、俺が学校へ行っている間パートに出て、毎日のように働いてくれてる。

 

 ………

 なにか親孝行できればいいな...


「はぁ~、毎日疲れるわ~。」


 でかいため息だなぁ...


「アンタが結婚して、子供を持って、一人前になってくれれば、母さん楽ができるんだけどなぁ。」


 ブフッ!!


「なに吹き出してんの!あーあ、テーブルが!」


「ご、ごめん。」


 何を言い出すかと思ったら!

 ああ、また思い出しちまった...

 心臓がバクバクする。…………


 顔...赤くなってないよな?


「んん~?」

「な・に・か」

「心あたりでもあったのかなぁ~?」


 グフッ...

 今回は耐えた。


「なにもないけど。」


「ないことなんてないでしょ!」

「あ~!母さん嬉しい!!」

「あんなにおとなしかったアンタがねぇ、、」

「で、どんな子なの?」


「だからなんでもないって!」


 さっさと朝御飯を済まして部屋に戻ろう。


「おいしかった。ごちそうさま。」


「あぁ、ヒロキ!」

「もぉ~、素直じゃないんだから...」

「ふふっ、、あの子がねぇ~」



 ボフンッ


 部屋に戻った俺は、制服のまま布団に寝転がった。

 

 朝から疲れた...

 心臓がまだバクバクしてる。


「母さんがあんなこと言うなんてなぁ...」

「人騒がせにもほどがあるだろぉ。」


 でも、、、


「結婚...かぁ...」


 ふふっ…………

 

 ハッ!

 なに考えてんだ俺は!ちょっと笑ってんじゃねぇよ気持ち悪い!

 

 でも...彼女と仲良くなりたいな、、、、


 ………


 よし...っ! 

 今日こそは、、、

 彼女に話しかけてみよう!


 こうして

 俺の心臓が休まらない1日が始まった。

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