第2話
……朝日が差し込んでくる。
冬場で寒い中、ほんわかと日光によって暖かく感じる。
「アイリス様、起床のお時間です」
私は目蓋を開く。
目の前には神官の格好をした少々身長の低い、金髪の髪の長い少女が私の顔を覗き込んでいる。
「ルシフェル……おはよ」
「アイリス様、おはようございます」
私は身体を起こす。
横を見ると茶髪で髪の短めな少女が寝ている。
エリちゃんまだ寝てるんだ。
「ところでこの方は?」
「昨日拾った帝国軍の兵士のエリって言う子よ。今日から私の観測手になる子よ」
「アイリス様の観測手ですね。分かりました」
「エリちゃーん、起きろー」
「うーん……あ、おはようございます」
よし、起きたね。
さーて、顔洗ってこよ。
「あのー、ベオウルフさん?」
「あ、そうそう。私を呼ぶ時は名前で呼んで欲しいな」
なんかコードネームで呼ばれると堅苦しくてね。
「あっ……すいませんでした」
「良いよ、別に」
「で、アイリスさん、この方は?」
交互に聞くねぇ、この子達。
「この子はルシフェル。元々は法国の神官よ。今は一応、私の専属メイド。服装が神官のままだけど」
法国、共和国と帝国の国境線の延長線上にある小さな島国。法国は小さいながらも中々に高い軍事力を持つ。そのトリックは"奇跡"である。
大昔、人類は魔法を使えたが科学技術と引き換えに魔法の力は消えてしまった……はずなのだが、何故か法国の神官だけは未だに魔法が使えるらしい。
ルシフェルの場合、使える魔術はどんな傷でも治す治癒魔法と呪いの魔法である。
だが、魔法も万能では無い。
治癒魔法は彼女自身にしか適用されないと言う欠点があり、呪いは武器に付与しなければ使えないと言う欠点がある。
彼女の場合は彼女の持つ拳銃と小刀に常時、呪いが付与されている。
この呪いは恐ろしく、なんでも死よりも恐ろしいものらしい。
「エリ様、これからよろしくお願いします」
「こちらこそ……よろしくお願いします」
「アイリス様、髪を解かしましょうか?」
「よろしく」
私は部屋の隅に置かれてある机の前にある椅子に座ると、彼女はブラシを持ってきて、私の髪を解かす。
「そう言えば……昨日、聞きそびれたんですけど……何故、アイリスさんは私を助けたのでしょうか?」
多分、あれだろうね。私があのベオウルフっていうのに驚いたせいで聞きそびれたんだろうね。
「そうねぇ……観測手が欲しかったから……かな」
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