第4話 二〇番目の少女
4
ロゼット達は、地鳴りをあげて接近する、全長一〇
人間は、ゴーレムには決して叶わないだろう。けれど――。
「ワタシ達は、〝人形〟だ。人間じゃない」
ロゼット達は、東のゴーレムを目指して突き進んだ。
人型兵器は棍棒を振り上げて、雷鳴のような音を立てて叩きつけたが、彼女達は土煙に隠れて恐れることなく迎撃した。
そして
「これがっ、おとこのロマンってやつだぁ」
「他に言いようはないのですか」
引き金を引くと同時に、
ロゼットもまた蔦の足場から飛んで、
「よっしゃ」
「撃破完了、ですわ」
ロゼットと
衝撃で燃料槽の魔法石が暴走したのだろうか? 頑丈だったはずの
「このガキ、いいや、悪魔どもめえええっ」
上空を旋回する鳥型戦闘人形の乗員達は、友軍機の破壊に動揺したのか、
ロゼットは、ばら撒かれる魔法弾を光の盾で受け止め、
当然、無傷ではいられず、二人の身体から鮮血がほとばしった。
――その時、かすかな破砕音が風を切り裂いた。
「……
ロゼットは、苦い気持ちで勝利を確信した。
鳥型戦闘人形の操縦席。正面のガラスが蜘蛛の巣のように、ひび割れていた。
西から迫るもう一体の巨大ゴーレムも、海賊のキャンプから追ってきた兵士達が乗る馬車も、次々と火花をあげて倒れてゆく。
「ン。おねえちゃん、むかえにきたよっ」
殺戮人形の最年少たる末妹は、蜂蜜色の髪を風になびかせ、吹き飛びそうな小さな身体で岸壁の上に立っていた。
彼女が蒼い瞳で標的を見つめ、長銃の引き金を引くたびに、人形の四肢が砕けて、車両の車輪が凍りつく。
彼女が従える長銃は、
千年前、
契約神器こそは、事実上、現代のあらゆる物理・魔術兵器を凌駕する決戦兵器なのだ。
その所持者である〝
あの男によって、『アンチマテリアルライフル』と名付けられた、第六位級契約神器〝エルブンボウ〟。
有効射程三〇〇〇
(でも、ダメなのよ。それじゃあ意味がない)
ロゼットは思う。
いらない。あの男の助力など要らないと。
(ワタシたちは負けない。絶対に負けない。二度と、あの日のような不覚はとらない―――。我らがあるじ、西部連邦人民共和国政府パラディース教団の為に、ワタシ達の価値を証明する)
ロゼットは心に誓うように、自分に言い聞かせるように、深く深く息を吸った。
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