第8話 真相! 危うい恋!
「まず一つ一つほどいていこう。ツバメくん、相手はギースルさんなのか?」
「……ええ」
「ええええ! あの大物イラストレーターと恋仲なんて!」
「それにギースルさん、舘先生のご友人ということですが」
「……ええ」
「知り合ったのはどこ?」
「イラスト投稿SNSサイト・pixivでずっと前に知り合ってたんです。はじめはフォローしただけだったんだけど、むこうもフォローしてくれて、そしてマイピクになって、メッセージやり取りしてて。イラストのこと教わったり、イラスト褒められたりしてるうちに、今度仲間とお泊り会するって」
「不潔なことになりませんか?」
「いえ、トレインホステル北斗星のフロアを2つ借り切って、片方は男子、もう片方はレディースシートにして泊まったんです。それで夜遅くまでフリースペースのフロアでテツなお話しながらお食事して。ギースルさんとそのお泊り会の幹事さんがそこのキッチンでみんなに料理作ってくれて」
「まあ、とても楽しそうですわ」
「それはいつのことであるのだ?」
「去年の年末です。クリスマス近い日でした」
「大好きな人とそう過ごすなんて、ステキですわ」
詩音がうっとりする。
「でも、私が女子だから、ギースルさん気使ってるのがすごくわかって」
「そりゃ気使いますわねえ。男性と女子高校生ですもの」
「ギースルさんはやはり舘先生と同じぐらいの歳なのか?」
「同じ高校のクラスメイトだったそうです。昔、一緒にテツ活動をしてたって。ギースルさんの本名、
「聞いたことがないですわ……」
「なぜその評判が言われなくなったのであろうか。わからぬ」
「それで、ギースルさん、冬のトレインホステル北斗星の前の通り見ながら『あのころの大宮駅を思い出すなあ。88年の暮れの大宮駅』ってため息して」
「まあ! ますますステキですわ!」
「88年……国鉄民営化の次年にして、そのクリスマスにオリエントエクスプレスが日本全国周遊の最後、上野からD51 498とロイヤルエンジンEF58 61の牽引で大宮まで走ったのであるな」
「そうです。ギースルさん、『なにもかもなつかしい。でも、あんなことなければ、ただ舘と俺のステキな思い出になったんだが』って」
「なんだろう?」
「わからぬ……」
「でも、ギースルさんと恋に落ちたのですわね。ステキですわ」
「だけどこれだと中年男性とJKなんて、犯罪だようー」
「うむ。いささか誤解を受けやすい関係であるのう」
「そんなんじゃないです!」
ツバメは強く真剣に否定して、みんな驚いている。
「そうか」
総裁は納得している。
「我らは邪魔をせぬ。むしろその縁を大事にすべく、君と行動をともにするぞ」
「そうですー!」
「ツバメちゃん。幸せになるんだよ!」
「ステキな恋をしてくださいませ!」
「ツバメちゃん、よかったねー」
ツバメは涙を浮かべている。
「うむ。このいろいろなものが難しい世の中で、まさに未来が鮮やかに開けるような慶事であるのだ。弥栄弥栄」
「みんな、ほんと、ありがとう!」
感謝するツバメ。
「ヨイぞよヨイぞよ」
総裁も喜んでいる。
「でも」
御波と総裁は目を合わせた。
「なんとなく、いろいろ仄めくものがありましたね」
「さふである」
「そうですわねえ」
みんな、考え込んだ。
「ヒントが一杯ありましたね」
カオルもうなずいている。
「あ、そうだ、御波ちゃん、鉄研のみんなのこれからの運命もそのタロットで占える?」
「ひいい! そんな怖いこと占わないで! ヒドイっ」
「御波さんも抵抗なく占い始めないでくださいませ!」
みんなにかまわず御波がカードをひいた。
「なんだろう? このカード」
「なんか、灰色で、怖い感じだなあ」
「……『DEATH』だ」
「死神の正位置。崩壊、終末、終止符、終わり、限界、新たな始まり、だって」
「ひいいいい!!!」
みんな、震え上がった。
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