第8話 不穏な影
ある日の夜、父は唐突に話を切り出した。
「村の狩人が森で怪物を見たらしい。最近、活発化しているみたいなんだ。『大侵攻』とまではいかないと思うけど、もしかしたら襲撃があるかもしれない」
突然の悪い知らせに身体が硬直してしまった。
大侵攻とは、怪物達の数が増える、その種族の王が誕生するなどにより、生態系を食らいながら人類の生存領域に侵入してくることを言う。過去、多くの村や町が飲み込まれた。
たとえ大侵攻じゃなかったとしてもこんな小さな村、襲われたら一溜まりもないだろう。
「この家は遺物で結界を張っているからそうそう見つかることもないけど、いつでも逃げられるように準備はしておこうか」
父はそう言ったあとに部屋の整理を始めた。
「デイルもあまり遠くに行っては駄目だよ」
「……分かった」
「行商団が来るまで何事もなければいいんだけど」
憂いを帯びた父の顔はこれからの未来を暗示しているようだった。命を脅かす不穏な影は、すぐそこまで来ていた。
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