第16話:タイムリミット

6:30、舞はこの時間にスマホのアラームで起きてくる。

「おはよう。舞。」


俺は舞に一刻も早くこの気持ちを伝えるために舞を起こした。


「ん〜どうしたのぉ?そんな改まって…」


………さすがにこの状態で伝える訳にはいかないよな。


「まず顔洗ってこい、それからちょっと大事な話があるんだ。」


俺がそう言うと、


「ん、わかった。」


舞はなにかを感じ取ったのかいつもは少しごねる所を今日はスっと立ち上がり顔を洗い、着替えてきた。


「それで、話ってなに?」


舞はなにか決心したような顔でこちらを見てくる。

そんなかしこまられるとなんか言いづらいな…


「あ、あのな?」

「うん」


「俺、舞が好きなんだ。」


舞が息をのむ音がする。


「え……」


驚いた顔をした舞は突然その大きな目から涙を零し始めた。


「ご、ごめん。驚かせて。」

「いや、大丈夫。でも1個聞いていいかな?返事はそれからで。」

「……うん。」

「なんで伝えようと思ったの?桜君はそんなに積極的なタイプじゃないよね?なにかあったの?」


そう、俺が舞に気持ちを伝えたのはただ好きだったからだけじゃない。

俺にはもう時間が…


「お、俺は幽霊だし、舞は人間。この思いが実を結ぶことはないのは分かってる。だけど…俺には時間がないから……」


今まで密かに隠していた俺に起こりつつあるとある変化について、舞には話しておくべきだと思った。


「どういうこと?時間?」

「俺、少しずつだけど確実に身体が薄くなってきてる。3年前の身体と比べるとひと目でわかるレベルで、だから、多分俺はもうそんなに長くここには居られないから。伝えられる時に伝えたかったんだ。」


耐えろ。


「そんな―――」


そんな顔をするなよ。


「多分、もって5日が限界なんだ。この気持ちを伝えずに消えていくって選択肢もあったんだけどさ、未練は残したくないし、俺、あく、あくりょうにはなりたくないからさ……」


あぁ、ダメだ。涙が止まらないや。

幽霊になって今まで1回も泣いたことなかったのになぁ。


すると舞は顔をあげた。

その顔は涙でぐしょぐしょになっていた。

「……き」


「え?」


舞が何かを言ったが俺は聞き取ることが出来なかった。


「私も、桜君が好き!!」


舞は、涙でぐしょぐしょになった顔で、必死に笑顔を作りながらそう言った。


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