第11話:もう少しだけ… side吹雪 舞
(そっか…嫉妬してくれてたんだ……)
(なんかちょっと嬉しいな…)
まだこの家に引越してから3週間しか経ってないが彼との関係は確実に変化をしていた。
どんな風にと聞かれると答えるのは難しいが強いて言えば彼の塞ぎ込まれた心が少しづつだが開かれているのだ。
「…今日はどこに行くんだ?」
「今日は平日だからね〜大学だよ〜」
「そっか、気をつけてな。」
こうしてみると夫婦とまでは行かずともカップルの会話みたいだ。
――――――ボンッ
(か、かかか、カップルだなんて、私は何を考えてるの!?)
自分の思考に羞恥し、耳まで真っ赤に染めている。
「おっす〜!舞!……なんでそんな顔真っ赤なの?」
彼女は大学の同期、鈴本 理夏。
ボーイッシュな黒髪ボブで健康的に日焼けしたその姿はまさに美少女。
そして私が心置きなく話せる数少ない友人の1人。
「な、なんでもないよ〜!!ちょっと気温も暑くなってきたかな?」
顔を手であおぎながら答える。
「え〜?怪しいな〜彼氏でも出来た〜?」
「か、彼氏!?そんなの出来るわけないじゃん!!」
自分で言うのもなんだけど顔はそこそこ良い方だと思ってる。
それなのになぜここまで浮ついた話が何のかと言うと……
「舞はもう少しその引っ込み思案なとこを直せばモテモテだと思うんだけどな〜」
ウグッ!!
見えない言葉の刃が身体を貫通する。
「………男の人が怖いのはしょうがないし…それに今はまだそういうのは求めてないんだよね。」
私は父親のせいで男の人に深いトラウマを抱えている。
(そういえば桜君とは初めての時でも緊張しなかったな…幽霊の男の人も得意じゃないのに。)
それに彼と話しているとポカポカして心地よい。
(帰ったらまた話してくれるかな…)
「あ〜!舞がまた恋する乙女の顔してる〜!やっぱなんかあったでしょ〜!!」
「なんにもないよ〜」
この気持ちはもう少しだけ自分だけで味わっていたいな――――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます