第8話:吹雪 舞の過去 (1)

「実は私ね、家を追い出されたの。お金はおばあちゃんから少し貰ったけどね。」


「……なんで」


「ほら、私って桜君みたいな子が見えるじゃない?これって後天的なものなんだけど、この能力が発現するまでは自分で言うのもなんだけど私は明るい子でいつも友達の中心だった。毎日が楽しくて、これからもずっとこんな日が続くって思ってた…………」


彼女は言葉に詰まったようだったが決心したように続きを話し始めた。


「そんな時……お父さんが死んだ。居眠り運転の軽トラックに轢かれたの、私を庇って。」


「!!」


衝撃だった。まさか彼女にこんな過去があるとは知らなかった。


「その時からなの、私が幽霊を見ることができるようになったのは。救急車が来るまで私は泣きながらお父さんの名前を呼び続けた。そしたらね、急にお父さんの体から黒いもやっとしたのが出てきてその黒いモヤモヤから……」


『舞、お父さんの分まで、強く生きるんだよ。』


「って言われて、私はお父さんの幽霊が見えたんだって思った。だからお父さんの分まで強く生きるんだって…思ってた。」


「その日から私は色んな霊が見えるようになった。浮遊霊や地縛霊なら害はないからまだ良かった。だけど私には怨霊とか人への恨みで魂を留めている類の霊も見えるようになっていたの。」


「……」

俺は頷くことしか出来なかった。

というかここで口を挟むような無粋なマネはしたくなかった。


「私は怨霊が怖くなって社交的だった性格も内向的に変わってきて、だんだん周囲から孤立するようになったの。そして…………」



「そんな時、お母さんが再婚した。」


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