第5話:吹雪 舞という女は……

彼女と生活して早くも1週間。

この期間でわかったことがある。

彼女は……


「桜く〜ん!!私のスマホ知らな〜い?」


少し…いや、だいぶ抜けている。

それも心配になるほどに。


「あっ!バックの中だ!!」


(こいつは今までどんな生活を送ってきたんだ…)


「あ〜!桜君!今私の事バカだと思ったでしょ!顔にでてるよ〜?」


(はぁ、寝るか)


「ちょっと!どこ行くの〜!」


「寝る。」


「あ!桜君が今日初めて喋った!」


俺が発する言葉や行動、その1つ1つにやたらとでかい反応をしてくる。

正直こいつといると疲れる、だけど、そんなでも、心が暖かくなるような気がする。


……不思議だな。生きてる時に感じたことの無い気持ちだ。

この気持ちがなんなのかは分からない。

だけど俺はこの気持ちを大切にしたいと、そう思った。


……だがさすがに


「うるさい。」


「酷い!!」


彼女の前ではどうも素直になれないのだ。

本当は彼女と話すのはとても楽しい。



だからこそ、俺が生きている頃に母さんにしたことを知られたくはないと思った。



「桜くーん!こっち向いてよー!」




……………やっぱうるさいな。


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