57th Starting Out.

その日の早朝、俺は寺を出ることにした。出口の門のところまで坊主の先生が見送ってくれた。


俺はエレナ、アリス、リリスを立体映像で自分の隣に立たせた。そして深くお辞儀をした。

「先生、大変お世話になりました。」


「いやいやこちらこそ、お陰で寺もいつもより綺麗きれいになったよ。」

そういうと先生はニコリと笑った。


「ところで先生、一つ疑問があるのですが」

「なんだい?」

「なぜ掃除ロボットを入れないんですか?」


坊主はにっこりして言った。

「フフ。機械に頼らずにやってみないと機械の本当の価値は分からないよ。」

そう言うと先生は空を見た。


先生は続けて言った。

「これは選別だ。」

そして細長い木の箱を渡した。


俺は聞いた。

「これは?」

「十牛図という。古くから伝わる禅宗の絵画かいがさ。道に迷ったらはたずねてみるといい。」

「ありがとうございます。」

「また遊びに来なさい。」

「はい。ではまた。本当にありがとうございました。」


四人で深く礼をした。


庭の壁の植木には

花が一面に咲いていた。

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