42th A Simulation.

 早朝、まだ陽もささないころ。俺は目を覚ました。俺はコンソールを開くとアリスのシミュレーション状況を見た。稼働率はほとんど100%近い。俺はゴクリとつばを飲むと、最新のシミュレーション結果をそっと再生した。


 2機が相対している。こちらのアリスは装甲が外されており、武器はランクの低い刀が一本。敵は標準的な機兵の兵装でさながら鎧武者のようだ。

 シミュレーションが開始するとお互いに相手を牽制するよう、敵は右へこちらは左へ、円を描くように静かにスライドする。

 こちらのアリスが仕掛ける、複数のフェイントが含まれているのか、ゆるいS字を描いて素早く敵に近づいた。敵は僅かに後退する。お互いの距離が近づく、剣の間合いまではわずかに遠い。

 こちらが左にステップするようにブーストすると敵はまるで移動先を読んでいたかのように一気に距離を詰め、腹をめがけて刀を刺してきた。こちらは紙一重で敵の刀を脇の下にけ、その勢いのまま敵の肩をめがけて刀を振り下ろした。敵は腕を盾に、タックルするように飛び込んでくる。こちらの腕をかち上げるつもりか。

 ほぼ同時に、こちらの刀が敵の肩に、敵の肘がこちらの振り下ろした拳にあたった。ガキィンと金属音がして火花が散る。

 互いに反動で態勢を崩した、敵は間髪入れず刀で胴を切断しにくる。左肘をたたんでガードしようとするが間に合わず、胴の真横から刀が斬りつけられる。刀は胴体の半分までめり込んだ。

 

 こちらの機体が力を失って僅かにうなだれた次の瞬間、敵は引き抜いた刀で首をねた。

 こちらの機体は力なく崩れ落ちた。




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