40th Alice's Heart.
その夜、俺たちは三人で話し合った。
「エレナは待機、俺は修行、問題はアリスだな。」
すかさずアリスが答えた。
『はいマスター。私は先生から自分に勝てとのアドバイスを頂きました。したがって、敵との戦闘シミュレーションではなく、自分との戦闘シミュレーションを行うことと判断しました。』
なるほど。確かにそうだな。
「続けてくれ。」
『はい。そのまま実施しても勝率は5分5分で勝負はつきません。そこでこちらの武装を解除してシミュレーションすべきと考えます。こちらの防御用の装甲を外し、剣も弱いものを用います。相手はアリスそのままとするハンデ型シミュレーションによる訓練です。』
「なるほど。それは良さそうだな。」
俺は答えた。
しばらく黙っていたエレナが突然声を上げた。
『ちょっと待って!!それって訓練中はネットワークから切断しなきゃいけないんじゃないの?』
アリスが静かに答える。
『はい、エレナ。この訓練中はアリスのネットワークから分離独立しなければいけません。』
『失敗したら消えちゃうじゃない。もしふつうのアリスに勝てなかったらあなたは役目を失って消滅することになるわ。下手すれば過去のアリスに統合されることもないわよ。』
『そういうことになります。』
俺は話についていけない。アリスは下を向いている。エレナは声を荒げた。
『そんなことは認められません!!!!!』
『私はやりたい。ほかに道はありません。』
アリスは静かに返した。
エレナはどうしていいか分からず俺に助けを求めるように言った。
『ご主人もなにか言ってあげてください!!!』
とっさのことで、俺はなんと言っていいかわからなかった。
アリスは顔を上げるとニコッと俺に笑いかけてこう言った。
『私はやりますよ
マスター、期待して待っててくださいね。』
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