33th A President.
俺とエレドアは庁舎の最上階にある応接室に来ていた。
「今回は我が国のエネルギープラント施設を守っていただき誠にありがとうございました。国民を代表して御礼申し上げます。」
大統領は挨拶早々にレナードに礼を言った。
「いえ。自分は一軍人として義務を果たしたに過ぎません。微力ながらお役に立てたようでなによりです。」
「今回のことはレナード様麾下の部隊には大変助けて頂きましたので勿論その御礼はさせていただくつもりです。」
「そのことですが、大統領。」
隣に座っていたエレドアが話を切り出す。
「今回、緊急での派遣になりましたが、今後防衛を
エレドアはそういうと大統領に資料を渡した。大統領は受け取った紙の束に静かに眼を通している。
「ありがとうございます。そちらの意向は分かります。しかし、ご存知の通り我々の予算は貴国のようには多くない。むしろ支援していただきたいくらいです。そういう状況ですので更なる増派をお願いすることは難しいでしょう。」
大統領は一息置くと続けた。
「一つは現在別のプラントを建設中で、あそこを失ったとしてもエネルギーサプライは破綻しないということ。もう一つは僻地であって山に囲まれているため、軍略上もさしたる要地ではないことがあります。」
「では失ってもいいと仰るのですか?」
エレドアが返す。
「そうは言っていません。が、私達は全体のバランスから考える必要があると申しているのです。また国民は当国にヒーローが現れたということで大変に喜んでおります。今後ともどうぞよろしくお願いしたい。予算の詳細については、今後事務方とじっくり協議していただきたい。なにしろ重要なことですからな。」
そういうと大統領はゆっくりタバコをふかした。ガラス窓から見える外は晴天に白い雲がたなびいている。
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