31th Rationing Something.

 機兵ガナルバルドを起動させると野営地入り口へと向かった。配給物資を地元の市民に配る手はずになっている。静かに歩行させると野営地のゲートを出た。眼下には補給物資を積んだトラックと兵隊達が市民を誘導している。見たところ市民のグループは2つある。一つはこちらを歓迎し、配給の列に並んでいる者たち。もう一つはプラカードを持って軍の駐留を反対デモをする者たちだ。それにプラントの反対デモもいる。間ではそれぞれが罵声を浴びせて小競り合いをしている。

 俺は機兵の足をズシンと彼らの眼前に落とした。蟻の子を散らすようにそれぞれ離れてスペースを作った。デモの集団はこちらを睨んでいる。軍の駐留に反対している彼らの心情がどうなろうと俺にはどうでもいいことだった。コクピットハッチを開くと市民からの歓声があがった。デモの集団は市民の圧力に負けて外側に押し出されていった。


「ざまぁみろだ。」

俺は小声でつぶやくとそのまま下に降り立った。


配給は大いに盛り上がった。市民は戦闘の動画を見たといって色々と声をかけてくれた。人々に笑顔で握手をすると彼らも嬉しそうに列を離れた。まるでアイドルかなにかのようだったが、喜んでくれる人達の顔を見ていると悪い気はしなかった。

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