1st Movement #2 Knock a Door.

30th End of a Combat.

 臨時に設営されたHU軍の一室でレナードはディスプレイを前に待機していた。先日は大陸を弾丸飛行で移動して即戦闘。敵機は弱兵とはいえ身体にはこたえた。


「司令部も人使いが荒い。」

レナードは悪態をついた。しばらくすると通信が入った。


「おお。レナード、遅れてすまない。先日の戦闘では単機でプラントを守りきったそうじゃないか」

「ハッ。司令官殿、預けていただいている機体のお陰です。」

そういうとレナードは軽く敬礼をした。


「ハハッ。謙遜はよせ。あの機体についていけるのは君のAI掌握率あってのことだろう。敵さんも農村あがりのフレームで軍用フレームに勝とうというのが無理な話だ。お陰で紛争区域は縮小しつつある。」

「平和のための大きな一歩ですね。」

「そのとおり。僻地とはいえあまり奴らの好き勝手にさせるわけにはいかん。」

そういうと上官は眼を鋭くした。


「おっと。本題を忘れるところだった。君には現地で補給物資の配給に協力してもらいたい。」

「はぁ?配給でありますか」

「左様。今回の戦闘はHU上層部もいたく気に入っていてね。君がヒーローという訳だ。」

「・・・道化の役でしょうか?」

「まぁそういうな。現地民のご機嫌とりも我々の仕事だ。君は若くしてHU機兵部隊のエース、今回のことで更に株を上げた。戦略室は向こう一ヶ月は大きな侵攻はないと見ている。仮にあったとしても君がいれば十分だろう。しばらく僻地での勤務になるがよろしく頼む。」

「承知致しました。」


そういうと通信が切れた。レナードは肩に残った緊張感を振り払うをシャワー室へ向かった。


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