12th The Hand.

床が緑に塗装された狭い通路を抜けると大きく開けた工場に出た。周りを見渡すとほうぼうで火花が散っている。金属を叩く甲高い音が工場にこだまする。油の匂いがする。


「あれだ」

社長がそういうと、眼の前に小屋ほどもある大きな手が吊り下げられているのが見えた。機兵のマニピュレーターだ。指の一本一本の装甲が曲線がかっており一種の芸術品のようだった。指の関節が光を反射して輝いている。


「こいつぁ、YAMATOの新型だが、ORIGAMIで3分切りやがった。業界は大騒ぎさ。今みせてやるよ。」


そういうと社長は工員に大声で言った。


<おいっ!!

<ナンスカ?

<こいつにORIGAMIやらせろっ!!

<うっす!!


高い天井につながった大きなクレーンでひときわ大きな布がはためいて牽引されてきた。マニピュレーターは大仏の手のようにそれを受け止めた。


<やりますよ!!

工員の声が聞こえた。


ブーーーンと周囲の空気が振動するとマニピュレーターは滑らかに動き始めた。金属の五本指で、布を折り、持ち、折り目をつけて、、、



そして大きなツルが出来上がった。


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