二十三話 有原両助
ボクと右助と左助は『城』の中を移動。ある扉を開く。その先は『休憩の間』。
と言っても初めて入る『休憩の間』だけど。
そして、ここに来たということは。
「カラクリがまたある」
と、独り言。和室のような部屋になったり、あるいは地下室になる部屋が『休憩の間』。それは、理論的には全然可能の範疇のもの――つまり、カラクリ部屋。それが『休憩の間』の実態。休憩の合間に変わる部屋。全然休憩のできない部屋だ。
「そうだぜ人折。この先は――最高の部屋だぜ!」
最高の部屋。左助がそういうと、どう考えても最悪な部屋としか考えられなくなってしまう。
「僕はですね回帰さん――いえ、もう回帰などという言葉で呼ぶのはやめましょうか。
『
どうして才能を隠すんですか? 隠さなければ、殺したい人を勝手に殺せるはずでしょう?」
『
ボクは右助の疑問に答えるのは癪なので、かわりにひねくれてみる。
「それでも『
「いや、『
「ですよね。ボクもそう思います。でもまあ、あいつがいなかったら、ボクはあなたがたを殺していたのかもしれません」
「面白いことを言いますね、『
『
「『
「へえ、そうなんですか。では、『
「あれは、仕方なかったからと本人は言ってました。真偽は分かりませんけど」
「なるほどな。っと、ちょっと待ってください」
話しているうちに、『休憩の間』の奥にあるスイッチの場所に来たらしい。右助の指の先を見ると、確かにスイッチがあった。
右助はそれを押す。
すると、足場がなくなった――否、そう感じているだけ。
背景が、宇宙のようになっていた。星々が綺麗で、煌めいていて、ボクはその宇宙に投げっぱなしにされている感覚を受ける。錯覚を利用したとは言っても、これほどまでに異様だと、本当に錯覚なのかどうかも怪しいほどだ。
「ついてきてください」
と右助は言う。
歩き歩き歩くと、背景がいつの間にか変わっていた。
壁はグレー色を基調とする部屋。研究室の部屋を彷彿させるような、機械の数々。
眼前に見えるのは、巨大なガラス管。ガラス管は妙な液体で満遍なく入っている。
そして驚いたのが、そのガラス管の中に入っているもの。
ガラス管の中に――脳が入っていた。
皮膚などなく、脳のみそのまま、取り出しガラス管に入れたとしか思えない。
「改めて紹介したほうが良さそうですね。これは僕の兄――有原両助です」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます