第28話(2)VS処女にエロ漫画を描かせる会 冥府に最も近い場所…最上階会議室!!

イヤン異世界店・最上階6F会議室。

 部屋の中には。

 YEYANチーム・9人……支店長、工口、魔王ペド・オルエ、勇者、火星人首領、白磁の少女、転生者殺し、ゴスロリ挿絵、褐色シャーマン。

 処女チーム・1人……純潔守。

 がいた。



「ハァッ……ハ」



 邪神復活の8つの鍵を左右の手に握りしめ、バンザイのポーズを取る、純潔守。

 机の上に立ち、背後のスクリーンに巨大な影を落とす。

 服装はブラウスとタイトスカート。

 先程まで変装していた、女支店長の格好をしている。



「フゥ、フゥ……ペロ」



 少し前まで被っていた、支店長型ラバーマスクが暑かったのか。

 額から、大粒の汗をかいている。

 口元まで垂れてきた汗を、舌で舐めとった。



「!……」



 純潔守に対し、戦闘体制をとるYEYANチーム9人。

 スクリーンから逆側、会議室後方。

 反対側に固まっている。



「……」



 転生者殺しはナイフを構え。



「あわわ……」



 大魔王ペドと火星人は、寄り添って動揺する。



「そんなーことがー……」



 8つの鍵を奪われた、白磁の少女はショックで下を向いていた。




「……クククッ。ははは。この状況でネタバラシとは、自殺行為だろうに」



 9人の中から一人、前に出る勇者。

 全身を甲冑に包み、いつでも戦える状態にある。

 肩を揺らして歩く。



「それとも、お前のような病んだ精神のクソガキは。高い所にいると自殺願望が疼くのか? どうなんだ。『処女にエロ漫画を描かせる会』会長さんさぁ」



 純潔守に向かって話しかけながら。

 剣を鞘から抜く、勇者。



(鍵を握りしめて、塞がった両手で。戦闘など出来るものか)



 純潔守の全身を観察する、勇者。

 8つの鍵を握りしめた右と左の手を見る。



「ホ……」



 顔色一つ変えない、純潔守。



「……!」



 そのまま、眉ひとつ動かさずに跳躍した。

 両手をバンザイしたまま、天井に突き刺さる勢いのジャンプをする。



「きたか!」



 宙に浮いた純潔守に狙いをつけ、剣を振り上げる勇者。

 剣圧に接して、床のタイルが削れ飛ぶ。



「あ……! 違う、勇者さん! それは罠だ!」



 工口が勇者に警告しようと叫ぶ。

 純潔守は真上に向かって跳んでいた。

 跳躍は的確に、蛍光灯を捉えていた。



「ガラスの目潰しッ!!」



 万歳したグーの両手は、蛍光灯に向かって振り下ろされ――

 接触。

 飛び出した破片は。

 まるで、意思を持つかのように的確に勇者に向かって飛び。



「ぐぎゃッ!!」



 鎧の隙間を通り抜け、勇者の目玉に突き刺さった。



「アァ……♪」



 地面に着地する純潔守。

 膝を曲げ、両拳を地面に着けることで衝撃を減らす。



「あぉッお……」



 視界が奪われ。

 剣を持ったまま、その場に崩れる勇者。



「オ……!」



 倒れる勇者を尻目に。

 走って、出口に向かう純潔守。

 支店長の立つ。

 会議室ドアを目指す。



「ひいっ……!」



 四点着地からの猛ダッシュ。

 獣のような純潔守の動きを前にして。

 思わず、扉から後ずさる支店長。



「フゥー!……フゥー!……」



 それは、正しい判断であった。

 退かねば、純潔守は殴り殺すつもりであった。



(今は、脱出が優先でェす。邪神の復活が全てだ)



 ドアノブを開けるため。

 鍵をしまって、握りしめた手をフリーにしようと。

 走りながらポケットを探す純潔守。



「……」



 変装用に着た、タイトスカートをベタベタと触る。



(……………………ポケットがない!?!?)

 「フンッ!!」



 ポケットを探していた純潔守に、硬いビジネスバッグが直撃した。

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