第17話

「……仕留め損なったかぁ」



 パコパコ慢太郎は、火炎魔法を放った右手の手首を回して、しまう。

 握った拳からはブスブスと煙が漏れている。



「もっと気を引き締めろ。……死ぬぞ」 



 イキリーマン死ぞ江は腕を組み、状況を観察する。



「お前たちは……確実に殺したはず……」



 転生者殺しは火傷の傷を抑えながら、転生者二人に問いかける。



「……僕たちには、残機があるんだよ。パーティの連中にも秘密だけどね」

「情報戦で劣ったな……死ぬぞ」



 転生者殺しは、ギリリと歯ぎしりし。



「チーターめ……っ! 生きているだけで恥ずかしい人間……!」



 火傷の痛みに耐える姿は、感情を抑えているようにも見えた。



「そう怒るなって。『長い物には巻かれろ』。その格言は僕たちの社会でも同じだったろう?」

「ただ、こちらの世界では我々が長いものになったという話……。了承できねば……死ぬぞ」

「……」



 威圧する、慢太郎と死ぞ江。

 言葉を交わしても無駄と、押し黙る転生者殺し。



「じゃあ、今度はお兄ちゃんたちが、わたしに巻かれてくれないかなぁ?」



 沈黙を破ったのは、白磁の少女だった。



「!?」

「死ぬ!ぞ!?」



 邪神子たちが、慢太郎と死ぞ江を取り囲み。

 先の工口のような、黒い球体にしてしまう。



「うおわぁぁっ!?」

「死ぬぞォ!!」



 そのまま、邪神子たちはジャンプし。

 転生者二人を棺の中にダンクする。

 八つの転生者が棺に揃った瞬間から、ゴゴゴと地響きが騒ぎ出す。



「……!」



 手負いの転生者殺しは、状況を見守ることしかできず。



「あはは」



 白磁の少女は不敵に笑い。



「工口さん」



 ペドは工口の直ぐ近くまで、密かに接近していた。



(ペド!?)



 工口は周りの邪神子に気づかれないように、心の中で驚く。

 ペドもまわりに気取られないように、小声で。



「これからあなたに……スケベ第二秘術を授けますっ。これを使って逃げてくださいっ」

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