第9話

「はっ!」



 日が沈み、辺りは暗くなっている。



(あれからどれくらい経った……? 七か八の時間ぐらい……)

「……ペド? ペドはどこだ?」



 工口は一人、周りを見渡した。



「魔王ォオ!」



 置いて行かれたことに気づき、あわてて魔王城手前まで移動する工口。



「ぶべっ!?」



 が、魔王城への侵入を塞ぐ。

 透明な壁に激突する。



「明らかに、透明な何かがある……」

「フフフッ!」



 工口の声に応え、城の窓からひょっこり顔をだすペド。



「多くを語らなかったのが幸いでした……。深部の結界こそ破壊されてしまいましたが、魔王城外部の結界は健在だったというわけです」



 工口は、歯をギリリと食いしばり。



「……ボタンを押して水中の中の輪っかを棒に入れるゲームもお前の策略ということか!」

「フッ、フフ」



 ペドは、品性を保つことをやめ。



「きゃはははははっ! 貴方と過ごした半年間は無駄じゃなかったですよっ! ダニ潰しで半年遊べる男ということは計略の勘定に入っているのですからね!」

「ペドがぁぁあ!」



シツッ シツッ



 怒りの感情を抑え。

 指を擦って、即座に乳頭クリクリを放つ工口。



「やっ……///」



 反射的に胸を抑えるペド。

 しかし、すぐにその両手を下げ。



「もはや、私の乳首は誰のものではありませんっ!」



 高らかに、乳首の独立宣言をしてみせた。



(くっ、やはり結界内部に手ぇ一本でも入れて。発動させないと効果が無いか)



 空しく、手を下ろす工口。



「ばーか! ばーか! あほぅー」



 ペドのあざ笑いの声を背に、工口は魔王城を後にするしかなかった。

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