第7話

 女盗賊が丸いガラス玉を地面に叩きつけると、濃ゆい霧のような煙が噴き出す。

 魔法使いは引きずられ、二人は煙の中で存在が曖昧になっていく。



「……勇者さんは私だって尊敬していたんです。中途半端な慈悲は人を殺しますよ」



 女盗賊が最後に警告をする。



「……俺は魔族だがな。去ねよ人間!」



 が、工口はそれを断絶し。

 声が届くか届かないかのタイミングで、二人の侵入者は煙の中に掻き消えた。

 後には軽い硫黄の香りだけが残った。



「……」

「……」

「去ねよ。去ねよ人間。だって」

「ぐっ///」



 ケラケラと嘲笑するペド。



「去ねよ~っ。去ねっ! 去ね、去ね、去ね、去ね!」



 工口の周りを回りながら、一つ覚えのように繰り返す。



「…………はぁー。女性にイキってしまった……」



 工口は出来るだけ無視して、勇者の隣に腰を下ろす。



「私にはイキりまくりじゃないですかっ」

「え? あぁー。めんごめんご」

(コイツ……)



 ペドは蔑むような目をする。



「勇者さんはどうしようか……重っ」



 工口は、勇者の脚を引きずりながら背負う。



「殺したらいいじゃないですか」

「人間は殺さないよ。物騒だな」

「……では、地下牢に」



 ペドが指で場所を指し示す。



「幽閉するしかないな」

「でも、事実を知ったら死にたくなるかもしれませんよ」



 地下牢に向かう二人。



「……半年かけて乳頭クリクリで勇者の乳首を開発。常に寸止めに抑えといて、決戦日に一気に放出……おぇ、思い出したら気持ち悪くなってきた」



 口を押さえる工口。



「何が悲しくて半年間も男の乳首を……。えー、それで、仲間二人には即死魔法とブラフ――勇者一行が片道切符かどうかは賭けだったが」



 工口は、すっかり染み付いた勇者の乳首の感触を思い出す。

 ペドは一人、呆れた顔をして。



「はぁー。王国の最高戦力ですよぉ? 魔王討伐の、慈善事業のために手放す訳がありませんよっ。問題は……」



 珍しく、ムムムと唸るペド。



「……問題は、瞬間移動のアイテムのことです。あれほど強力なものが、そう容易く量産できるとも思いませんが……」



 工口は、ふぅと息をつき。



「ま、分からないことを考えても仕方ない。とにかく内実は誰にも話すなよ?」

「絶対ですか」

「ああ! 絶対だ」

「うふふ」

「あはは!」



(これだけ気をつけてれば、絶対大丈夫だろう!)



 戦いの緊張も解れて笑いあう二人。

 半年前は他人だった、魔王と男。

 経験を経て強く結ばれた絆で、様々な苦難も乗り越えていくことだろう――




                    第一部   VS勇者戦 おわり。




*************************************

主人公・工口 現在習得済みの技



NEW『乳頭クリクリ』

遠距離技。遠くから乳首を弄れる。イク寸前で止め、一気に放出で失神可能。

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