エピローグ
九人も死んだクイズが終わって約四か月経った。外に出てから僕は警察に赴き、自らの罪を告白した。刑事裁判にかけられ僕は裁判で懲役二年執行猶予三年が言い渡され、今は薬物中毒者の更生施設に身を置いて生活している。今日は暇潰しに出掛けてみる事にした。久しぶりに本屋でも行こうか。僕は雑誌に手を伸ばし少し立ち読みしていた。虐待死の事件があり、児童相談所職員のコメントが載っていた。コメントしてる職員も虐待に遭っていた女性だだと記載されている。職員の名前は柳 真入さん。柳さんは児童相談所の職員になったんだ。柳さんならきっと多くの子供を救ってくれると思う。柳さんのコメントに書かれていたのは、無関心が一番の悪という旨のこと。僕は柳さんの言葉を肝に銘じておこうと思い、次のページをめくる。交通事故被害者支援の団体を設立した女性の思いが綴られた書き物の宣伝広告が大きく載る。執筆者の名は神条 緋音さん。神条さんも柳さんも自らの悔いを基にして前へ進もうと努力しているんだなと思い、立ち読みした本を施設から貰ったお小遣いで買った。自分の部屋に置いておこう。僕は高揚した気持ちで施設に帰ると、他の入所者がテレビに殺到していた。不思議に思ってテレビを覗き込んでみると殺し屋に対する温情判決を取り上げたニュースが流れていた。被告人は相当反省をしている上に、殺人を余儀なくされていた事が要因だそうだ。被告人は涙を流し裁判長に深く感謝をした様子が絵に描かれており、僕は何事だろうと思った。被告人の名前は東 迅都さん。東さんは死刑にならず、懲役5年の判決だったそうだ。温情判決だな。裁判長の判決に異議を唱える人も世にはいるだろう。でも僕は裁判長の判決は正しかったと言う。東さんが語っていた事を忘れていないから。次々に流れる興味深いニュース。しかし僕は温情判決の事をずっと考えていた。一人になりたくて施設から外出してみると、いじめを注意する青年が視界に入った。金髪の青年だった。近づいて見てみると、有馬君だった。いじめっ子を追い払った後、僕らは話した。皆それぞれ変わろうと努力している事を伝えた。僕らはゲームの事を思い出す。ゲームが僕らにもたらした何かを日が暮れるまで話し合った僕たち。夕焼けが広がる空に目を向けてみる。僕らは笑顔で別れてそれぞれの道を歩き出した。
【END】
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