第8話:俺TUEEEより俺の推しTUEEEがしたい!
最推しパーティーでセラフィムに快勝できたのは、正直めちゃくちゃ嬉しい。
でもそれはそれとして、異常事態には変わりなかった。
急ぎ《神鏡》で三人のステータスを確認した結果、俺は顎が外れそうになる。
「三人のスキルが別物クラスに強化されてる!? それにステータスも!」
ミラージュは一人につき、三つのスキルを有している。
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《【九尾くノ一】ハクメン》
【鬼火の術】:味方全体に【攻撃力強化】、自身に【状態異常攻撃:呪詛】を付与。
【結界の術】:味方一体に【弱体耐性強化】【防御力強化】を付与。
【妖狐の呪符】:敵一体に【防御力低下】を付与。
《【彷徨う首なし騎士】デュラン》
【死霊の盾】:自身に【ターゲット集中】を付与。
【晴れない恨み】:自身に【被弾時のSP上昇率強化】を付与。
【呪いの宣告】:敵一体に【「状態異常の解除」無効】を付与。
《【可憐な狂戦士】ベル》
【黒狼の衣】:自身に【闇属性強化】【光耐性低下】を付与。
【痛覚喪失】:自身に【一回限りの蘇生】を付与。
【狂化】:自身に【攻撃力強化】【防御力低下】を付与。
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これが俺の知る、以前のスキル構成。
それが、今はこうだ。
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《【九尾くノ一】ハクメン》
【黒き呪炎】:味方全体に【攻撃力強化】【状態異常攻撃:呪詛】を付与。
【妖狐の変幻術】:味方一体に回数制の【弱体無効】【無敵】を付与。
【千年尽きぬ憎悪】:敵全体に【防御力低下】【呪怨(「呪詛によるステータス低下」倍化)】を付与。
《【彷徨う首なし騎士】デュラン》
【幽騎の守護】:自身に【ターゲット集中】、味方に【闇属性強化】を付与。
【怨念の鎧】:被弾時、自身に【SPチャージ】、敵に【状態異常:呪詛】を付与。
【逃れられぬ死】:敵全体に【「状態異常の解除」無効】【回避・無敵・蘇生の解除】を付与。
《【可憐な狂戦士】ベル》
【狼王の獣威】:自身に【闇属性超強化】【光耐性超低下】を付与。
【狂える力】:自身に【一回限りの蘇生】【蘇生時、一回だけ闇属性と攻撃力超強化】を付与。
【狂暴化】:自身に【攻撃力超強化】【防御力超低下】を付与。攻撃のヒット数を三倍に。
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いや、どういうこと!?
とても一言じゃ説明し切れないレベルでパワーアップしてるのだが!?
特にデュランとベルは、SSRでも通用する性能に変貌を遂げていた。ハクメンと互いを補い合うシナジーも一層向上している。ステータスにも上方修正が入り、これなら高難易度でも十二分に戦えるだろう。なんという俺得強化か!
しかし、なんでこんなことに?
頭が疑問符で埋め尽くされた俺に、ハクメンが「一つ、心当たりが」と言う。
「主を召喚した城にいた、眼帯の魔女。彼女が我々を転移させる間際、声は発さず唇の動きだけでこう告げていました。――『バージョンを確認してご覧なさい』と」
そうだそうだ。確かにあの魔女、口パクでなにか伝えようとしていたのだ。
しかし、バージョン? バージョンって、まさかゲームのバージョンか?
《シャドウミラージュ》はリリースから二年が経過しており、メインストーリーの第一部が終了したばかり。第二部の開始を楽しみに待っていたところを俺は召喚された。その二年間に何度かアップデートが入って、バージョンは確か1.7だったか。
つまり、三人の謎強化はアップデートによるもの?
アップデートのお知らせなんてなかったはず。召喚された瞬間にアップデート入ったとか、なんというタイミングか。というか、一回のアップデートでこの強化は些かやりすぎじゃあるまいか。
そう苦笑しながら《神鏡》の画面を操作し、現バージョンを確認。
……そして、俺は今度こそ顎がカクンと落ちた。
「ば、バージョン3.2だとぉぉぉぉ!?」
記憶違いではありえない。明らかにバージョンが進みすぎてる。誤表記じゃない証拠に《神鏡》の画面を探れば、出てくる出てくる新項目に新要素。
それらが意味するところは一つだ。――どうやら俺が召喚されたこの地は、俺が知る《シャドウミラージュ》より遥か未来。アップデートにアップデートを重ね、最早別ゲーと化した《シャドウミラージュ》の世界らしい。
「ふふ、くっ、クフフフフ」
「リーダー、変な笑い出てるよ? 大丈夫? おっぱい揉む? ハクメンの」
「私ですか!? いえ、主が御望みとあらば、つまらぬ胸ですが」
「あー、うん。今はそっとしといてやれ。あと、ハクメンは上目遣い+胸持ち上げとか、二人きりのときにやってやろうな? 大将、たぶん鼻血噴いて喜ぶから。……待てベル、浮気じゃないし凝視もしてないから俺のファイヤーヘッド齧っちゃイヤァァァァ!」
俺は三人のことが大好きだ。たとえ弱くたって構わない。
だが、可能なら推しキャラを最大限活躍させたいのがミカガミ心!
そして、バージョンアップされたこの世界なら叶う!
最弱と嗤われてきた俺の最推しパーティーを、最強へと進化させられる!
やってやるぞ! 「俺TUEEE」ならぬ「俺の推しTUEEE」のために!
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