第17話 初オークション
「八雲〜。今日は、買い付け行くぞ。準備しろ〜。」
社長からそう言われた。俺の配属が変わって社長直属の部署になった。この部署は総務部になっている。だが、他の名で呼ばれることが多い。その名は、八零『はちれい』と呼ばれている。理由はよくわからないが、みんなが言うに八百万からきてると言われている。
「わかりました。今回のバンクロールは、どのくらいで?」
そんなことを話しながら、用意をする。今回は一千万ぐらいの予算だそうだ。車に乗り込み、買い付けの会場へ行く。
「ただいまより、オークションを開始します。皆さんの望む品物が手に入ることを願っております。」
そう言いながら開催される。出品物は様々だ。俺らの目当てでもある仏像から訳ありの刀、さらには国宝クラスのものまで流れてくることもある。
「八雲、その辺でオークションじゃなくて新品の仏像があるからそれを15体ぐらい買い付けてきてくれ。センスはお前に任せる。」
そう言われて三百万ほど渡された。おおよそ一体が20万円ほどみたいだ。
買い付けも無事終わり、社長のもとに帰ろうとした。そんな時だ。なんとなく立ち寄った部屋でオークションが行われていた。ここは人が少ない。だが、明らかに他と一線を引くほどの俺は惹かれる。
「ここは俺たちコレクターにとっては憧れの場所だ。ここに来れるとは思ってなかったが、八雲がいると入れるのか。いい経験させてもらえるな。」
いきなり後ろから社長が肩を叩いてきた。社長はたまにいきなり現れる。
「八雲様ですね。お待ちしておりました。そちらはお連れ様ですね。ここでは1組3名様までご入場できますので、どうぞご入場ください。」
黒服のお兄さんから案内された。
周りから声がする。社長の知り合いらしい。羨ましがる声や一緒に連れていって欲しいとの声までも。
そんな声にさよならを告げ、中に入って行く。そうすると明らかに高級そうな内観だ。まるでお城の中で見たいな絢爛豪華な家具に囲まれている。一つのテーブルに案内される。テーブルの数は20ぐらいであろう。今日は半分ほどしか埋まっていない。
「本日担当させていただく一ノ瀬と申します。本日はどのようなものをお探しでしょうか?八雲様。」
綺麗なお姉さんだ。黒髪のスレンダーで巨乳…。は〜、やっぱし俺は女好きって友達によく言われるだけあるな。
そう言われましても別になんとなくここに惹かれただけだしな…。
『御主よ。ここに我の御神体となるモノがある。それを見つけて来い。』
如来が教えてくれた。じゃあ、こう言おうかな。
「俺は、如来の力を授かった。だからその如来の入る仏像を探してます。」
「えっ…。そんなことないですよね?不動の間違えでは?」
なんとなく、馬鹿にされたというか、呆れられた返しだ。
俺は、イラっとした。祓い屋は自分の使っている力には嘘をつかない。だからこそこの言葉に怒りを感じる。
『数十年しか生きてもおらず、それに加え此奴の器も見抜けぬとは、落ちたものだの。』
「なっ!?なんですって!私はこの職についてもう10年も経つんですよ!あなたみたいに昨日今日この力が使えるようになったわけじゃないんですよ!」
えっ?みんなに聞こえてるの!?
俺は驚いた。普通この声は力を授かった者にしか聞こえないはずなのに!?
お姉さん相当怒ってるよ…。ただ、言われても当然だ。この世界は力の強いものが生き残って行く世界なのだから。
「大変申し訳ありませんでした。彼女では役不足にも関わらず、この子に対応させてしまったことお詫び申し上げます。」
明らかにお偉いさんなおじさんが出てきた。そう言いつつ従業員が数人やってきて、一ノ瀬を連れていった。
「あなた様は、先日如来の力を授かったのですね。おめでとうございます。この度の失言に加え不適切な対応、一ノ瀬に代わりお詫び申し上げます。ここからは、私が対応させていただきます。」
そう言いながらテーブルに着いた。
さて、本題に入るか……
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