パークの危機ってなぁに?
「……僕は、イエネコのフレンズなんですけれど、ベンガルって品種のフレンズ、みたいなんです。ちょっと、特別っていうか、何というか。」
「でしょうね。」
「見れば分かるです。お前は只者じゃないことも。」
「!……分かるんですね?」
言葉を選びながら喋っていたが、横槍が入るように中断されるも。
それは、二人が気付いているからのよう。
話が分かりそうで、悪い気にはならない。
「そもそも、お前のようなフレンズが誕生するのです。何かパークに起こりそうな気がしてならないですよ。」
「!」
むしろ、促すように言ってもくれた。
やはり、鋭いよう。
話しやすくしてくれているのか。
「……。」
それなら、この先のことも、話せるかもしれない。そう、パークの危機のお話を。
「実は、ある人?から言われて、パークにきたんですが……。」
促されるまま、僕は語りだすが。
そも、あの虎猫を人としていいのか分からず、疑問符だらけで。
「パークの危機が迫っていると。だから僕は、その人の代わりに、こんな道具を持ってここに……。」
「……。」
「……?」
「……!」
そう、パークの危機が迫っていると。
告げるなら、二人のフクロウのフレンズは沈黙。
だが、同じく聞いていたかばんさんは真剣に聞き入ってくれて。
やはり、真っ直ぐ僕を見てくれていた。
「……ですが、ええと、ベンガル。」
「それでは、具体性に欠けます。」
「!……ぬぅ。」
見てくれている途中に、二人が言ってくることには、突っ込みのよう。
それも、具体性がないと。
それを突っ込まれると、こちらも答えに窮してしまい、困ったことになった。
虎猫から話されていなかったけれど。
いや、思い返せば、虎猫も知らなかったみたいだし。それが余計に。
「……。」
こんな時に、話をしてくれないか、僕はつい通信機を覗くが。
当の通信機は、点滅することもなく静か。
こちらの話はモニターしてくれているだろうに、答えないのは一体どうしてだか。
生憎と、通信の先がどうなっているか分からないために。
これ以上僕が言えることはないね。
「しかし、分からないわけではないですね。」
「まあ、その、お前を遣わした誰かが言っているのは、おおよそ分かりそうではありますね。」
「!」
そうして、僕が困惑して、話が進まなさそうになる中。
フォローにか。
二人のフレンズは言ってくれる。
僕は、ぱっと顔を上げて。見れば二人は、何かピンとくることがあるようで。
助け舟とも思い、聞き入ることにする。
「パークの危機、というのは、多分あのセルリアンです。」
「そう、海中の中にいて、現状我々では手を出せない。」
「!」
聞けば、二人が言っていることには、セルリアンのことらしい。
それも、手に負えないという単純な話から、厄介な気がしてならない。
「……それって。」
僕は詳しく聞きたく、今度は僕が促した。
「船型のセルリアンです。キュルルやサーバル、カラカルたちや、海のフレンズたちがが目撃しています。」
「船型っていっても、おっきいですよ。そうですね、人の持ち物で言うなら、豪華客船程ですね。」
「!」
巨大らしい。
手を出せないうえに、巨大。
また、あんまり表情に示さないが、だからこそ、二人の困惑も伺えた。
「……それに。」
「ベンガル、お前の話を聞いて、嫌な予感がしたのです。」
「!……ええと、な、何か……。」
おまけに、話している内に、嫌な予感がしてならないとまで。
その様子に、僕はごくりと唾を飲み込む。
「思い出したことですが、近日、海上ホテル跡付近で、PPPライブをやる予定なのですよ。だから、まずいんですよ。」
「……?」
嫌な予感というその先に感じららた、懸念とは。
アフリカオオコノハズクが言うことには、PPPライブがあるからと。
一転して僕は、疑問に首を傾げる。
「?!……お前を遣わした奴は、知らないのですか?」
「!……ええと、何をですか?」
「「……。」」
その様子に、二人のフレンズはぎょっとしまい。
なお、知らない僕は、やっぱり首を傾げるしかない。
その様子に、二人は絶句してしまった。
「どうやら、セルリアンのことをよく知らないみたいですね。」
「!」
それは、僕の無知であると見抜くなら、ワシミミズクは言ってきて。
「やれやれです。不思議なフレンズですね。」
「やれやれですね。お話ししましょう。」
「!」
呆れながらも、丁寧に懸念の理由を言ってくれようとする。
「セルリアンは、人やフレンズの〝輝き〟を狙ってくるのです。それは、能力であったり、思い出であったり……。」
「……?」
「楽しいという、感情であったりと。」
「そう、キラキラ輝いているんですよ、要するに。つまり……。」
「!」
そう、セルリアンとは。
〝輝き〟を奪う存在だと。
つまり、とは……。
「PPPライブがあるってことは、それだけフレンズの輝きがあるってことです。それだとまずいことに……。」
「食べられてしまうです。」
「!」
PPP……が何かを僕は知らないが、ライブというのなら分かる。
沢山の観客がいて、アイドルやアーティストが歌い踊る。
観客と一体となって、いわゆる〝輝き〟なる物が、最大限になる。
そんな情景。
それを、セルリアンは喰らう。
「……?」
だが、喰らうとして、僕は疑問に。
食べられたら、どうなるの?思えて、首を傾げた。
「どうやら、知らないようですね。」
「教えてあげます。」
「!」
察されて、二人のフレンズは言ってくれるみたい。呆れもされているけれど。
「食べられるということは、お前の想像だと、咀嚼されてとかだと思うですが。」
「!」
「実際は違います。セルリアンは、輝きを喰らうのですが、食べられるとフレンズは、元の動物に戻ってしまいます。」
まずは、僕の考えていることで。
言うことには、咀嚼とか。
それこそ、獣が食べるような。
僕は、軽く頷くと、今度はワシミミズクが補足してくれた。
言うことには、僕が思うこととは違い。
食べられるとフレンズは、元の動物に戻ってしまうとのこと。
「そうなると、我々は、我々ではなくなる。人と話すこともできなくなる。記憶もなくなる。思い出も。そうなると我々は……。」
「……。」
「!」
そうして、喰らわれたなら。
フレンズは全てを失うと、それこそ話すことも。
言って二人は、懸念にかばんさんを見た。
その時の瞳に、食われた先を想像して、懸念もある。
そうなったなら、かばんさんは一人になってしまい。
もしそうなったら、今のかばんさんは、……どうなる?
じっと、僕はかばんさんを見て。
だが、どうなるという答えを、導き出せないでいた。
「……それを防ぐためにも、ですね。」
「そう。」
そうなることを、現実にさせないためにも。
二人は続けていたら。
「……止めよう。」
「「!!」」
代表するように、なんとかばんさんが重いながらも口を開いた。
ほとんど喋らなかったあまり、場は驚きに満ちる。
寂しげな瞳であっても、その奥には信念を感じ。
顔を上げているのは変わらず、はっきりと見据えていた。
「確かに。」
「かばんの言う通りです。」
賛同は、もちろん。
二人はそうして、頷き合った。
「!……。」
僕もまた、賛同のつもり。頷いた。
「さて。話も分かったことです。」
「料理が冷めてしまいます。早くいただきましょう。」
「!……う、うん。」
そうして、かばんさんの言葉に賛同して。
また、僕のパークの危機を分かってもらえて場が包まれたなら。
アフリカオオコノハズクとワシミミズクは言い。
冷めそうな料理を、これ以上冷ますまいと、食べることを勧めてきた。
すっかり忘れていたと僕は思い、また料理に視線を移して。
合わせて、食器が当たる音が響くなら。
二人のフレンズも、一斉に口にしているみたいで。
そうなると、僕だけが食べないのも悪く、僕もまた、口に運んでいく。
食卓はそうして進んでいった。
ありがたいことに、寝床も提供してくれるみたい。
料理を食べたなら、片付けて、寝室を用意されて。
その様子に、僕は安堵して、ベッドに座ると、ふっと溜息が漏れた。
《お疲れ。……ごめんよ、俺も上手く説明できなくて。あんなセルリアンだったとは、俺も気付かなかったんだ……。》
「!……ううん。」
そのタイミングで、虎猫が通信してくれる。なお、言うことは謝罪のよう。
なお、僕は首を横に振って。
上手く説明できなかったけれども。
虎猫の言う、〝パークの危機〟は通じたみたいであり。
二人のフレンズを動かせた。
《でも、ベンガル、よくやったね。》
「!」
《あの二人、確か〝長〟だったらしい。話が通じたら、もしかしたら、沢山のフレンズに情報が行って、パークの危機を止めることができるかも。》
「!……あの二人、そんなんだったんだ……。」
声が称賛に変わるなら、なんとあの二人は偉いみたい。
驚きに目を丸くして。
「……。」
だとするなら、パークの危機を救うために、スムーズに物事が動くようになると。
長がして、パーク中のフレンズに情報が行くなら。
もしかしたら、皆が集まって、パークの危機と言われるセルリアンでさえ。
やっつけてしまえるかもしれない。
そう思うなら、心強さも感じ、また僕は安堵に溜息をついた。
《俺も安心した。それじゃ、もう休んで。俺も休むから。》
「!……あ、はい。おやすみなさい。」
《お休み。》
その安堵に、虎猫も僕のように安堵の溜息を吐いて。
身体を休めるよう、促してくれる。合わせて僕もまた、挨拶をして。
身体をベッドに投げるなら、そのまま目を瞑った。
翌日。
爽やかな鳥の声が部屋に響いてきて。
目覚めも爽やかに、僕はベッドから身体を起こした。
さっと射し込む、朝の光に、幸せという名の、〝輝き〟を感じそう。
背を伸ばして、身体をほぐし。
頷くなら、僕はバックパックを背負い、腕に通信機を付けて、部屋を出る。
向かうのは、リビングで。
「!」
誘われるように、僕は香りを辿ってしまう。
開くなら、用意された朝ご飯があり。
「あ、おはようです。」
「起こそうかと思っていましたが、いいタイミングですね。」
「!あ、うん。おはようございます。」
出迎えは、長の二人のフレンズがして。
丁度いいタイミングだったらしく、現に用意したてのよう。
朝の挨拶をくれたこともあり、僕はまず、挨拶をした。
「……。」
なお、ここに住むはずの、もう一人の姿を探せば。
「!」
見付けはする。それも、リビングのテーブルの隅の席に座っていて。
だけども、俯いたままだ。
昨日に見た、必死に止めようとしてくれているのとは、やはり違い。
「……。」
どうしてだろうか、僕はつい静かに思う。
それほどまでの、傷心か。
「ベンガル。」
「そっとしておくです。」
「!……う、うん。」
二人が促すことには、そっとしておくことだと。
見れば、二人も寂しそうで、悔しそう。
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