二章 よあそびのうた
第3話 明日天気に…
………。
「…以上、◯◯◯名。今をもって、大作戦の終了とする。残る者、帰る者は、礎となった者達の分まで生を
…違うよ。
偉い人が名前を呼び上げ、労を労っていた。
足りない、足りないよ。
「どうして殊勲賞のコを忘れるかなぁ。失礼しちゃう!」
皆、『彼』が居なかったかのように振る舞っている。
頬を膨らませながら非難轟々な台詞を口にする銀髪の異人。しかして夕京生まれの夕京育ち。
名を
今でこそ珍しくない、なんてそんな事はどうでも良い。
本人が執着しないし、多くを望まないとしても『彼』が認められないのを『彼の名前の持ち主』が望まない。
何故、そんな事が断言出来るかって?
勿論、本人の言葉だからだよ。
何故、知っているかって?
勿論、直接言われたからだよ。
きっと、アタシ以外の誰も知らない。
名乗っていた彼でも知らない。
………………。
あれは去年か、一昨年。
御影瑞己が健在だった時、眼鏡の彼もその隣に居た。
おじ様もおば様も居て、美夜ちゃんも居て。
だけど、順風満帆に見えた日常は、唐突に終わりを告げてしまった。
この世とあの世の境界線が消え失せてしまった事件。
その影響は甚大な被害を夕京にもたらした。
禾橋だって例外じゃない。
街は陽の光を覆う位に夜の
戦う
知る人のみぞ知る、大撤退戦。
―あの場所に居たアタシは。
―ううん、絶対にアタシ達は。
忘れちゃいけない。
覚えておかなくちゃいけない。
「皆、力を貸して欲しい。」
絶望に在る中で、尚。
生を信じ
諦めず
誰よりも駆け抜けた者達の事を。
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