第35話 オナ〇ワーム騒動、その幕開け

それは、オナ〇ワーム販売から3日が過ぎた日のことだった。


「よし、じゃあ早速行くとするか!」


俺は次のオナ〇ワーム販売の準備を進めていた。


荷造りを終え、アロマに声をかける。


「テレポート頼む」


「また?もう……、私はテレポート要員かなにかですか?テレポートだけが存在価値の女ですか?」


「そう言わずにさ。ほら、何か美味しいものでも買ってきてやるから」


俺がそう言うと、途端にアロマの表情が明るくなった。


「えっ、本当!?」


「ああ、男、いや魔王に二言は無い」


「わかったわ!テレポートを使ってあげる!その代わり、美味しいもの買ってきてよね!」


「はいはい」


こうやって、美味しいもので簡単に機嫌が直るから、本当にかわいいやつだ。


アロマが構えると、俺の足元に例に漏れず、魔法陣が出現した。


「それじゃ、行ってきます!」


「行ってらっしゃい!『テレポート』!」


アロマが魔法を唱えると、俺の全身が光に包まれた。





「ふぃー、着いた着いた」


さて、早速、露店を開く場所を探すことにしよう。


と、そのときだった。


『ぺス、はい!ごはんよ』


そんな声が聞こえ、不意にそちらを見た。


俺の目には、手の平に動物を乗せた女性が、その動物にエサをやっている光景が映った。


『あら?もしかして、足りないの?大丈夫よ、まだまだご飯はいっぱいあるから』


そう言うと、女性はその動物の口元にエサを運んだ。




その動物は、およそ手の平の1つから2つ分ほどの長さをしており、全体の見た目は、透明なピンク色で中に多くの突起構造がある。


「……あれ?あれって、オナ〇ワームだよな……?」


そう、その動物はあのオナ〇ワームだった。


気が付くと、どうやら町中の女性がオナ〇ワームを持っているようだ。


町中に透明なピンク色の細長い生物を持った女性が歩いている。


な……、何が起こっているんだ……?



あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!


「おれは 男たちにオナ〇ワーム売ったと

思ったら いつのまにかそれを女性たちがペットにしていた」


な… 何を言っているのか わからねーと思うが 

おれも 何をされたのか わからなかった…


頭がどうにかなりそうだった… 催眠姦だとか超スピードオ〇ニーだとか

そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ

もっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ…



と、俺は少し離れたところに、この前オナ〇ワームを売った男たちがいるのを見つけた。


全員、この世の終わりかのような絶望の表情をしている。


「あッ!おい、あんたたち!これは一体どういうことだよ!?なんで女性がみんなオナ〇ワームをペットみたいにしてるんだよ!?」


俺が問い詰めると、全員が泣きそうな顔で答えた。


「どういうことって……、俺たちが知りてぇよぉ……!」


「気が付いたらみんな、ああなってたんだよぉ!」


は?気が付いたらあんな風に?


「どういうことだ?」


「いや……俺たちみんな、あのオナ〇ワーム?ってやつを机にしまっておいたはずなのに、いつのまにか机の上に出てたみたいで、それが見つかっちまったんだよ」


「俺は妹に見つかった」


「私は娘に」


「俺はおふくろに」


「ワシなんか、孫に見つかったんじゃぞ?」


「そしたら、なんかみんなあんな感じになっちまってさ……」


「今さら、あのオナ〇ワーム?がどういうものかいうこともできないし……」


いや、本当にどういうことだよ。


普通なら、『なによこれ?』みたいなことになって、問い詰めると思うんだが。


だって、こっちの世界の人たちは、このオナ〇ワームが何に使うものなのか全く知らないはずだからな。


改めて、女性たちの方を見てみる。



『キャーッ!ニュルニュル動いてる!』


『『『キャーッ!かわいい♡!』』』


か、かわいい……だと……?


よく、『キモカワイイ』という単語を聞いたことがあるが、そういった類のものなのだろうか。


……いやいやいや!いくらなんでも、あのオナ〇ワームがかわいいわけがないだろ!?



「……まさか……な……?」


思い当たることがあった俺は、戦闘力はかるやつを取り出した。



レベル:100

戦闘力:皆無

タレント:女性に愛されし男性向け性玩具

女性から、かわいいと思われる。



まさかのまさかだった。


あの女性たちは、このタレントによってオナ〇ワームをかわいいと思い込んでいるということか。


じゃあ、あのオナ〇ワームが一体どういう風に使うものなのか説明したら、かわいいとは思わなくなるだろうか?


『あら?艶がなくなってきてるわね。今保湿してあげるからね』


『私のジローが一番かわいいわよ!』


『私のサブローがかわいいに決まってるじゃない!』


いや……今さら、言うわけにもいかないか……。


この日、俺を含めたこの町の男たちは、一日中気まずい空気の中で過ごすことになった。



だが、このオナ〇ワーム騒動は、まだ始まったばかりに過ぎなかった。






ちなみに、あのオナ〇ワームの寿命は前にも説明した通り一週間程度しかないので、数日後町中の女性がショックで寝込むという珍事件が起こった。


その原因であるオナ〇ワームを売った俺は、あとでルートに酷く叱られることになったのだった。

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