第33話 オナ〇ワーム、売ります

「ごめん、魔王さま。もう一度言ってもらえる?」


しずくがうまく話を呑み込めなかったようなので、俺はもう一度はっきりと言った。


「だから、このオナ〇ワームを売ろうと思うんだ」


「……もっとマトモな商売はないの?あたしのポーションを売るとか」


「ポーションっていったって、大量生産するのに限界があるだろ?このオナ〇ワームなら、俺のタレントで無限に創れるから、理論上は無限に売れるぞ」


「まぁ……、そうかもしれないけど……」


ロイドに9000万ゴールドという大金を奪われた俺は、持続的に収入が入る方法を考えていた。


だが、考えても良いアイデアが浮かばず、とりあえず一回ヌいて頭も体もスッキリさせようと思ったとき。


俺は右手に握っていたオナ〇ワームを見て思いついた。


そうだ、このオナ〇ワームを売って稼げばいいと。


「っていうか魔王さま。そもそもこれって売れるの?ただの自慰のための道具だよね?それならみんな普通に風〇店に行くと思うんだけど」


「いや、むしろその逆だ」


「えっ?どういうこと?」


確かに、このオナ〇ワームはただのオナ〇でしかない。


結局は、オナニーをするための道具でしかない。


それなら、風〇店の方に客が行ってしまうから売れない……というのは大間違いだ。


風〇店はみんなも知っている通り、お金を払うことで色々な女性とあ~ん♡なことやこ~ん♡(キツネ系獣人)なことができるお店の総称だ。


だが、その分払うお金は高い。


この世界の基準では、安くても一時間5000ゴールド、普通のお店だと一時間10000から20000ゴールドくらいはする。


もちろん、男たちはみんな癒されたいので、高い金を払っても嬢たちとヤりに行く。


しかし、それを毎日続けるのは不可能だ。


なぜなら、毎日通うと知らない間にドンドン金が無くなっていくからだ。



ところが、そんなところにこのオナ〇ワームが現れたらどうなるだろうか。


予定では、このオナ〇ワームは一匹3000ゴールドほどで売ろうと考えている。


このオナ〇ワームには寿命があり、一週間程度しか生きていられない。


逆に言えば、一週間動く全自動オナ〇を使い放題というわけだ。


一時間20000ゴールドと一週間3000ゴールド。


果たして、どちらのほうがコスパがいいだろう。


それは人それぞれ考え方が違うだろうが、ほとんどの人はオナ〇ワームのほうが良いと思ったのではないだろうか。


そう、風〇店に行きたくても金が無い男たちは、こぞってこれを買うだろう。


そういう男たちは、たとえ異世界だろうとどこにでもいる。



「これは絶対に売れる!」


「うん、売れる理由は分かったけど、そもそも魔王さまって商売の許可証って貰ってたっけ?」


「え?貰ってないけど」


「え!?じゃあ駄目だよ売っちゃ!許可もなしに物を売ってるのがバレたら捕まっちゃうよ!」


「大丈夫だよ!」


「何が大丈夫なの?」


「こういうのはバレなきゃいいんだよ!たとえバレたとしても、捕まらなきゃいいんだよ!」


「魔王さま、それ犯罪者の考え方だよ!」


こうして、俺は早速行動に移すことにした。





ここは夜の町。


多くの人たちが寝静まるころ。


町の中でひときわ明るく輝くところがある。


『毎度おなじみ、【エルフの森】で~す♡一時間10000ゴールドからで~す♡』


『猫獣人とのノーパンしゃぶしゃぶはいかがですかー?【ぬこ鍋】やってまーす』


『甲高い声でよく鳴きますよ!あなたの心と股間に突き刺さる!【ハーピィパーティー】です!』


そう、風〇街である。


街の中では多くの受け子さんが客を呼び込んでいて、たくさんの男たちが店を選びながら街を歩いている。


そんなところに、俺はいた。


理由はもちろん、いい店を探すため……というのもあるが、本題はオナ〇ワームの販売だ。


「おっ、ちょうどよさそうな奴みーっけ」


俺は一人の男に声をかけた。


その男は、先ほどから店の金額と財布の中を交互に見てため息をついていた男だ。


おそらく、気持ちよくはなりたいけど、たいして金を持ってないタイプのやつだ。


「お兄さんお兄さん」


「あ?何だあんた?」


「さっきからこのお店ずっと見てるけど、入らないの?」


「入りたくても金がなぁ……」


どうやら、予想通りのようだ。


「そんなあなたにいい話があるんですが、もっと安く気持ちよくなる方法があるんですよ」


男の動きがピタリと止まった。


「……詳しく」


「話が早くて助かります。……ではこれを」


俺は男にオナ〇ワームを渡した。


「なんだこれは?見たことがないが」


「試しに、その穴に指を入れてみてください」


言われた通りに、男はオナ〇ワームの口に指を入れた。


「うおっ!?なんだこれ!?」


「どうですか?」


「な、なんかニュルニュル吸いついてきて……、ちょっと気持ち悪いな」


耐えられなくなったのか、男はオナ〇ワームから指を抜いた。


「でも、ここにを挿れたら気持ちいいと思いませんか?」


「……アレってまさか」


「そう、ですよ」


男はこれの使い方を理解したようだ。


男がつばを飲み込む。


「……で?これいくらなんだ?」


「本来ならひとつ3000ゴールドですが、今回はお試しということで1000ゴールドで売らせていただきます」


「1000!?それは安いな!」


「ただ、一つ注意点がございまして、それは一週間ほどで動かなくなってしまいます。そうなったらゴミに出してください」


「分かった!一つくれ!」


「ありがとうございます」


こんな感じで、俺は数十人にオナ〇ワームを売った。


一週間もすれば、このオナ〇ワームの情報が男たちの間で広まることだろう。


そのときが稼ぎ時だ。


さぁ、一週間後が楽しみだ。

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