第10話 かませ犬の勇者とビキニで幼女の勇者
領主の屋敷に賊が侵入した日の夜。
隣町の酒場では、とある2人が出会っていた。
「あ、
「おお、アダム。待たせたな」
「いえいえ、姐さんのためなら1時間でも2時間でも待ちますよ!」
勇者。それは神から与えられた力を持つ、まさに選ばれた存在。
世界に10人ほどしか存在せず、対魔王のための重要な戦力とされている。
そんな貴重な存在である勇者がこの酒場に2人も来ていた。
「姐さんの好きなエールとマッドフロッグの唐揚げ、頼んでおきましたよ」
その勇者の一人、アダム。
圧倒的なパワーと、剣技を活かした戦闘を得意としている。
タレントは『
だが、主人公の魔王城ではではただのゴブリンやスライムに瞬殺されてしまった。
言わば、かませ犬である。
「おお、いつもサンキュな。ここのエールと唐揚げの組み合わせは最高だからな」
同じく勇者の一人、リー。
タレントの『慈愛の信者』によって常に回復をしながら高いステータスでゴリ押しする戦闘方法を得意とする。
また、仲間を回復したりとアシストもしている。アダムが死んだときも彼女が生き返らせた。
彼女は、触手たちにヌルヌルにされたあの幼女である。
ちなみに、見た目に反してちゃんと酒が飲める年齢である。
「そういえば、姐さん。この前あの魔王のところに行ってきたって聞きましたよ」
「ん? ああ、そうだけど」
二人が話している途中で、店員が先ほどアダムが注文したものを持ってきた。
「お待たせしました。エールを2つと唐揚げ2人前です」
「ああ、ありがとうございます」
「ごゆっくりどうぞー」
店員はそのまま戻っていった。
「……で、どうでしたか?」
「どうって、いったい何が?」
「魔王ですよ! いったいどんな奴だったんですか?」
「んー……、そうだなぁ……」
リーはジョッキを持ってエールを一口飲んだ。
「ぷはぁ! いやー、ここのエールは本当に最高だな!」
「そりゃあ嬢ちゃん、この店で出すエールは全部、俺の知り合いの酒屋に特注で作ってもらっているこの店限定のエールだからなぁ!」
「まじかよ店長さん! だから美味しかったのかぁ……」
「いや、姐さん。今はエールの話はいいですから」
「ああ、そうだったな、すまん。でも、魔王ねぇ……」
リーは記憶の中の魔王を思い浮かべた。
※※※※※※※※
『いいえ、ケフィアです』
『すんません! 俺が魔王です! うちの仲間がすんません!』
※※※※※※※※
「……うーん、よくわからん奴だったな。あんまりしゃべってないしな」
「そ、そうですか……、あ、じゃあ配下の魔物たちはどんな感じでした?」
「そうだ、その魔物がヤバかったんだよ!」
「どんな風にヤバいんですか?」
「俺がなすすべもなく簡単に無力化されちまったんだよ……。まったく身動きできなかったな」
「へぇ、姐さんが勝てなかったんですか。どんな魔物だったんですか?」
「ただの触手だよ」
「……すみません、もう一度言ってもらえます?」
「俺はただの触手に負けたんだ」
「……触手、触手ですか……」
「全身を拘束された挙句、散々に体を弄ばれたんだ」
「全身を拘束、体中弄ばれた!?」
「本当に、あの触手たちは何者だったんだろうな……」
「姐さんが……触手に……?」
そのとき、アダムの頭の中には、リーの記憶とは全く異なる想像が膨らんでいた。
~~~~~アダムの妄想~~~~~
『ぐッ、なんだこいつらは……? 振りほどこうにも、力が強くてできそうにない……ッ!』
幾数もの触手がリーの体を縛り上げている。
その中の数本の触手がテラテラと光りながら、リーの体に伸びてくる。
『や、やめろッ! 俺に一体何をするつもりだ!』
触手たちが彼女の体中を這いずり回り始める。
『んっ♡くっ♡お、お前ら……後で後悔するぞ……』
しかし、触手たちに人の言葉が分かるわけもなく、そのまま彼女の体の上を這いずる。
『んあっ♡んっ♡はぁ♡くそっ、こいつら……』
そして、一本の触手が彼女に近づいていき――――――
『んあッ♡!?』
彼女の肩を掴んで、揉み始めた。
同様に、もう一本触手が反対側の肩を揉み始める。
『んっ♡ひぁっ♡な、なんだよぉ、急にぃ』
そう、それはマッサージだった。
同様に、腰、首の付け根、太もも、ふくらはぎなどに触手が集まり、重点的にマッサージをし始める。
『き、気持ちいい……。あっ、そこ凝ってるんだったぁ……。あぁ♡いい』
あまりの気持ちよさに、彼女の体は何度も打ち震えた。
触手たちが動き回り、触手たちの粘液で彼女の体はドロドロになっていく。
しかし、触手たちの温かい粘液のおかげか、彼女の顔がこわばったものから、気持ちよさそうな緩んだ顔になっていく。
触手たちの粘液は、マッサージオイル代わりになっていた。
『あっ♡やっ♡き、きもち……いいよぉ』
時に強く。時にやさしく。
『んっ♡んっ♡んあっ♡んんッ♡』
気が付くと、彼女の体は彼女の汗と触手の粘液で床に水たまりができるほどドロドロになっていた。
最初は彼女も抵抗の意思を見せていたが、今ではただその快楽に身を任せていた。
それぐらい、この触手たちのマッサージは極上なのだ。
もちろん、彼女自身はマッサージを受けたことは何度もある。
しかし、この触手たちの上手さはプロのそれを遥かに超えていた。
『んんっ♡ああっ♡そこそこ、そこ凝ってたんだよぉ……♡ああ、最高……』
触手たちの動きがだんだん速くなっていく。
それに比例して、(マッサージによる)音もどんどん大きくなっていく。
『んっ♡あっ♡んんッ♡んあ♡あぅっ♡ふぅぅ♡』
※※※※※※※※
「…………でさ、その魔王なんだけどさ、なんか人間ぽくってさ……って、アダム?」
「…………」
だが、アダムはうつ伏したまま何も答えない。
そして、彼の周りには赤い池が広がっていた。
そう、彼はマッサージフェチだった。
「えっ、ちょっ、アダム!?」
すぐにリーが駆け寄る。
彼女が彼を起こすと、鼻から大量の血液が溢れ出ていた。
「『ヒール』! 『ヒール』! 『ヒール』! だ、ダメだ。出血が止まらない……」
いくら彼女がヒールをかけても、アダムの鼻血が止まる気配はない。
「おい、アダム! やめてくれよ! いくら復活できるからっていっても、俺だってお前が死ぬのは悲しいんだぞ!? 頼むから……止まってくれよ……!」
だが、彼女の思いもむなしく、その日、アダムは人生で2回目の復活を果たした。
※※※※※※※※
「あ、やっと起きたか」
「あ、あれ? 姐さん?」
「酒場でいきなり大量に出血したから驚いたぞ。何があったんだ?」
「あ、いやー、あの……、ちょ、チョコ……食べ過ぎちゃって……」
「あ、そうなのか」
「は、ハハ……」
この後、家に帰ったアダムは自分の妄想を思い出して、上からも下からも液体が噴出して、病院に運ばれたそうだ。
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