第65話 看病

「お茶出すから待っててよ」

「え……うん。無理しないでね……」

「おう!」


今は七菜美と家で2人っきり。

心臓がかなり暴走している。

コップにお茶を注ぎながら、いろんな事が頭を過ぎる。

お盆にコップを2つのせ、自分の部屋に向かっていく。

緊張などからか、熱がぶり返している気もするのだが……


「お待たせ……って、何してんだ?」

「部屋の掃除だけど?春樹は座ってて。」


あれ〜この前駿介に押し付けられた変な本どこに置いたっけな〜

冷や汗が出始める。

お盆を机に置いたその時、目の前が急に真っ暗になった



**

「バタン」


突然春樹がその場に倒れた。


「えっ?!ちょっ、春樹!」


応答がない。

口元に手を当てると、息はちゃんとしていたので安心した。

額に自分の額を付けると、熱いのがよく分かる。

熱がぶり返しちゃったのかな……

ど、どうしよう……

とりあえず、私は春樹をベッドに寝かせ、洗濯物の中にあったタオルを手に取り、洗面所に向かう。

タオルを濡らし、ベッドで寝ている春樹の額に置く。

後はどうするんだろう……

何をすればいいのか分からない。

せめて手を握っておこう。

春樹のかっこいい顔を見つめ、時々寝言を言っている春樹を見ては笑っていた。

私が来たからこうなっちゃったのかな……

申し訳ない気持ちが頭を埋め尽くす。

そんなことを考えてたら、段々とまぶたが重くなってきた……



**

ん?何だか手があったかい……

重いまぶたをこじ開け、目を開ける。

天井の光が目を刺激する。

あたたかく感じる手を見ると、七菜美の手が重なっていた。

七菜美は、ベッドに顔を置くような感じで、スースーと、リズム良く寝息を立てている。

上半身を起こすと、額からタオルが落ちた。

俺は突然倒れて、七菜美がいろいろしてくれたんだな……

感謝の気持ちを込め、可愛すぎる彼女の頭を撫でる。


「ん、んん…………あれ?春樹?」

「おはよう七菜美。いろいろありがとな」

「ううん。ごめんね、私が来ていろいろ春樹を動かしちゃったせいで……」

「何言ってんだよ。七菜美のせいじゃない。

むしろ七菜美がいなかったら大変なことになってたわ」


目をうるうるさせ、こちらを見つめている。

七菜美は割と俺の前では泣き虫だ。

弱々しい所も、俺には隠さないから嬉しいけど……

俺は体を少し動かし、七菜美の頭を胸元で抱きしめる。


「大好きだよ七菜美」

「私も大好きだよ」


キスしたいと思ったが、いましたら風邪がうつるので我慢だ……

七菜美の少し赤らんだ顔を見ると、いろんな欲が溢れ出る。

その時、玄関のドアが開いた。


「ただいまー春樹大丈夫ー?」


どうやらお母さんが帰ってきた。

時計を見ると、もうそのくらいの時間になっていた。


「七菜美、そろそろ帰るか?」

「あ、うん……」

「大丈夫、明日学校で会えるから」


寂しそうな顔をする七菜美にそう言い、頭を優しく撫でる。

すると七菜美は気持ち良さそうに笑みを浮かべ、

「そうだね!」

といった。

その後は少しだるい体を起こし、七菜美を玄関までだが見送った。


「あんた風邪なのに変な事してないでしょうね」


七菜美を送ったあと、母さんがいきなり疑問をぶつけてきた。


「するわけないだろ」

「ならいいわ。明日は行けるといいわね」

「そうだな!」


そう言って再び自分の部屋に戻る。

変な事はしていない。しそうになっただけだ……


その日は、次の日に学校でマイハニーに会うため、いつもよりも早く寝たのであった。



~あとがき~

4000PVありがとうございます!

最近全く文が思い付かず、更新が出来てませんでした。

すみません。

少しずつですが、これからも更新していきます!

よろしくお願いします!

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