第64話 天使降臨

「げほげほ……」


熱はそこまでないが、咳と鼻水が酷い……

そう、俺は風邪をひいた。

まあ、七菜美の代わりに風邪をひいたと思えば別にいいや……

階段を下り、リビングに向かう。


「げほっ、お、おはよう……」

「おはよう……風邪ひいたのね。学校は休むわね」

「待ってくれ、七菜美に会ったら治る!げほげほ!」

「何言ってんの?七菜美ちゃんにうつったらどうすんのよ?」

「むむむ……」

「今日ゆっくり休んだら、明日会えるでしょ」

「そうだな……じゃあ、そうするよ……」


朝食を終え、しばらくして学校に連絡し、ベッドに横になる。

あー七菜美に会いてーー!!

さっきからこのことしか頭に浮かばない……

仕方ないので次はどこでデートしようか考えてみる。すると次第に段々と意識が遠のいて行った……


体が汗でベタベタしている感じがし、目が覚めた。時計を見ると、もう12時半になっていた。

よく寝たな……

睡眠のおかげなのか、体のだるさはほとんどなく、咳もおさまっている。

階段を下り、洗面所で顔を洗う。

冷たい水が、目をはっきり覚ましてくれる。

汗で体がべっとりついていたので、軽くシャワーを浴び、体を拭きながら、リビングに向かう。

テーブルにご飯が置いてあったので、服を着て、イスに座る。

テレビをつけ、箸を進める。

そう言えば、今日先生の出張とかで5限だったな……

今日は部活もないし、七菜美とどっか行きたかったんだけどな……まあ、次の楽しみとしてとっておくか。

そんなことを考えながら飯を食べ終え、食器を洗って再び自分の部屋のベッドに横たわる。

しばらくスマホをつついたり、ラノベを読んだりしていた。


3時を回った頃、

「ピンポーン」

という音がなった。

宅配なんか頼んだっけ?

急いで1階に下り、インターホンの画面を見る

そこには天使の姿が映っていた。


「すみませーん」


走って玄関へ向かう。


「七菜美!!」

「こんにちは。元気そうだね!良かった〜」


にっこりと嬉しそうに笑う七菜美に思わず見とれてしまう。


「あ、ああ!寝たらすっかり良くなったよ!わざわざありがとな!」

「いえいえ。ごめんね、私のせいで……」

「何言ってんだよ、七菜美が風邪ひかなくて良かったよ。それに、七菜美のせいじゃないし、気にする事はないよ」

「春樹ぃー!」


そう言って勢い良く抱きついてくる。

通りかかったおばあさん達がガン見してる……


「お、おい七菜美……あれなら少し上がるか?お茶くらい出すよ?」

「じゃあ少しだけ……あ、でも何も持ってきてないよ……」

「大丈夫だって!今誰もいないし!」

「ふ、2人っきりなんだ……」


少し顔を赤くしながら、

「じゃあ、お邪魔しまーす……」

と家に入っていく。

2人っきり……

いやいや、落ち着け俺。

あくまで七菜美はお見舞いに来てくれたんだ。

いくら2人っきりだからってそういうのは……

高校1年生の男子だ。

そう考えるなという方が無理がある。

何とか邪念を抑え、先に家に入った七菜美を追いかけた




~あとがき~

久しぶりの投稿です!

最近忙しく、執筆できていませんでした。

この土日は何話か更新していきたいと思っています。

よろしくお願いします。

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