第66話 お泊まり

風邪をひいてから1週間と少しがたった。

体調はすっかりと良くなり、走るスピードはやっと元に戻ったくらいだ。

そんな日の休憩時間、俺は前の授業のノートを書き終えた。

何故休憩時間に書いているかと言えば、寝ていたからだ。

3大欲求には勝てないのだ……

そんなことを考えていると、誰かに肩を叩かれた。

振り向くと、そこには秋大がいた。

秋大と楓はというと、夏休み中少し拗れたが、仲直り?をして、今では前よりラブラブだ。


「なあなあ春樹!」

「なんだよ、テンション高いな……」

「今週の土曜日泊まりに行く!」

「はあ?」

「だって部活無いだろ?あ、お前の母さんにはもう許可とってるから気にすんな!」

「分かったよ、今週な。部屋片付けとくわ。」

「おいおい、彼女がいるのに毎日片付けてねーのかよ!?普通はいつ来てもいいように片付けとくもんだぞ!」

「うるせえな……気をつけますよ……」


にしてもほんとにテンションの高いな……

こういう時はなんか裏がある気がするんだが……



数日経ち、土曜日になった。

今の時刻は午後4時

そろそろだな……

「ピンポーン」

ちょうど来たようだ。


「春樹ー!来たわよーー」

「今行くー」

母さんの呼び出しに答え、階段を下りていく。

玄関のドアを開けると、秋大がいた。


「おっす!お邪魔するぜ〜!」

「どうぞ」


秋大は俺の母さんと軽く挨拶を済ませ、俺の部屋に上がっていく。

荷物を置き、その場に座り込む。


「ふぅー、悪いな、今回突然で」

「いや、別に今回だけではないぞ?」

「それもそーだな!あはははは!あ、そう言えば今日楓の家で坂石さんも泊まってるって」

「へ〜そうなんだ」

「興味なさげだな〜まあ、今日ほ男同士腹を割って話そうじゃないか!」

「いや、何についてだよ!」

「そりゃーあんな事やこんな事だろ」


そう言って秋大はニヤニヤしている。

秋大やニヤニヤする時、ろくな事ないんだよな……

2人で風呂に入り、テレビゲームを少しして、今はトランプをしている。

こうして長い時間遊ぶのは久しぶりだった。

時計を見るともう9時だった。

やっぱり楽しい時間は早いよな……


「なあ春樹、楓達に電話しよーぜ!」

「え?なんで?」

「いや、理由はないけど……てかもうかけたし……」


『もしもし秋大?どうしたの?』

「楽しんでる?」

『うん!今七菜美ちゃんとどこでプロポーズされたいか話してたんだよね〜春樹〜?七菜美ちゃんは海の見えるとこでプロポーズして欲しいんだってー』

『ちょ、楓ちゃん?!』

『まあまあ、いつかして欲しいんでしょ?言っといて損は無い!』

『そうだけど……恥ずかしい……』

『もう、七菜美ちゃんったら〜可愛いんだから〜ねー春樹!……春樹?おーい?』


楓と七菜美の会話が少し聞こえたが、俺は今綺麗な海の見えるスポットをググッている。

くっ!多すぎて絞れない!


「……ここは近くに旅館か……こっちは割と近いな……」

「ダメだ楓、春樹まじモードに入っちゃってるわ」

『あちゃー10分は無理だね』

『まじモード?』

「坂石さんは見たことないのかな?集中しすぎてしばらく誰の言葉も耳に入んなくなる時があるんだよな〜」

『へ〜そうなんだ。なんでそうなったの?』

『そりゃープロポーズする場所を考えてるからだよ〜あ、秋大ー、私は空がいいな〜』

「空?!か、考えとくわ」

『じゃあ、お風呂入るからまたね、おやすみ〜』


「今のところここがベストかな……ん?電話終わったのか?」

「数分前に終わったよ。春樹のまじモード久しぶりに見たわ。ははは!」

「まじか……それは悪かった」

「いや、坂石さんの事ほんとに愛してんだな」

「ああ……」

「俺たち合同で結婚式なんてどうよ?!」

「その発想は無かった!それ、ありだな!普通に考えたらなしだけど!」

「「あはははは!!」」



そこからは高校生の男子がするような話で盛り上がり、爆笑し、怒られ、楽しい夜を過ごした。




~あとがき~

読んでいただきありがとうございます!

時間がある時は積極的に書いていくのでよろしくお願いします!

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