第2話 心臓のカーニバル

入学式が終わり、体育館を退場して教室に戻った。


「5分後にはホームルームやるからトイレ行っとけよー」


先生がそんな事を言っているが俺はそれどころでは無い。

なんてったって隣の席に一目惚れした美少女がいるから……

横目で見ては、勝手に緊張している。

マジで心臓がうるさい。こんなに激しく動くのはレースぶりな気がする。


「-ぃ、おーい、春樹聞いてんのか?」


どうやら俺は彼女に夢中になっていたらしく、秋大に呼ばれていたのに気づかなかった。


「すまんすまん。で、どうしたんだ?」


「トイレ行こうぜ……ってお前顔あけーぞ!?」


そう言って秋大は俺の額に手を当てた。


「熱はねーな。ん?お前まさか……」


と言い、とてもニヤニヤしている。付き合いの長い秋大は察したんだろう。なんてこった……


「トイレに行こう。あとそのニヤニヤやめろ。ストレートカマしたくなるだろ。」


「あれ?図星だったかな?まー俺たちの関係は長いからすぐ分かっちゃうんだよな〜」


「うるさいな、トイレ行くぞ早く」


いまだにニヤついてる秋大をトイレに引っ張るのだった。


トイレから帰ると、すぐにホームルームが始まった。プリントを色々配ったり、課題を提出したりした。

先生の話もあったが、俺は全く集中して聞けていなかった。

先生が話の終わりにとんでもない事を言った


「それではまず、隣の席の人と自己紹介でもしといてくれ。先生は資料忘れたから取ってくる。席は立つなよ〜それじゃあどうぞ」


先生はそそくさと教室を出ていった。

1人が話し出すと、みんなも話始めた。

席の向きを横に変え、坂石さんと、向かい合わせになる。やはり何度見ても可愛い……

目が合って、俺の心臓はますますうるさくなる。

こういうのは男からいくべきかと思い、勇気を出して自己紹介する。


「俺の名前は今井春樹。出身校は中野中学。

部活は陸上をやっていて、高校でもやるつもりです。1年間よろしく。」


何とか言い切った……顔が赤いような感じがするが、もうどうしよも無いわけで、今は頑張って喋った自分を褒めておこう。そんな事を考えていると、今度は坂石さんが話し始めた。


「私の名前は坂石七菜美。出身校は2つ隣の県の白玉中っていう中学校。部活はテニスをやっていて、これからもやるつもりです。こちらこそよろしくお願いします。」


綺麗な声だな〜と関心すると共に、坂石さんの顔が少し赤いのに気づく。人見知りなのかと思っていると先生が帰ってきた。


「軽く自己紹介できたか〜?では早速だが、学級代表を決めてもらおう。やりたい人は挙手、立候補もありだぞ〜」


すると楓が


「女子は七菜美ちゃんがいいと思います!しっかりしてるし、喋り方も丁寧だったので向いてると思います!」


「だそうだが他に意見はあるか?ないなら坂石やって貰って良いか?」


「良いですよ。皆さんよろしくお願いします。」


笑顔でそう答えると、周りから拍手が沸き起こった。


「じゃあ女子は坂石、よろしくな。次男子、誰かおるか〜」


「春樹が良いと思います!」


秋大が元気にそう言って、俺の方を向いてウインクした。


え?

何してくれてんだちきしょー!俺は心でそう叫んだのだった。

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