第44話要求
「まずは身分だ。
属性竜を狩れるのだから、士族で我慢する必要はない。
貴族の位を要求しよう。
どうせ激しい交渉で、要求は必ず引き下げられる。
はったりで子爵位くらいは要求しよう。
いや、宮中伯と城伯を要求しよう。
築城費用をこちらが用意するというのなら、城伯や子爵が認められるかもしれん」
ジョージ様がとんでもない事を言いだしました。
しかもとてもうれしそうです。
今回の大変な状況を愉しんでいるようです。
「父上。
幾らなんでも不謹慎ではないか。
ドウラさんの命がかかっているんだぞ」
ダニエルがジョージ様をたしなめます。
以前は遊び人だったダニエルが常識的な事を言って、普段はとても厳格で常識的なジョージ様に意見するなんて、とても珍しいですね。
「あくまでも要求だ。
通るなんて思ってはいない。
お前こそ、らしくないぞ。
お前も皇室を見限って新天地を目指す覚悟なのだろ?
だったら皇室が腹を立てるくらいの要求をしてみろ」
あら、あら、結局やり込められていますね。
ダニエルがジョージ様に意見するなんて百年早いのでしょうね。
「父上。
要求するのは爵位だけですか?
城伯や宮中伯の位をもらっても、属性竜を手放す気はないですよ」
イヴァンが、冷静なというよりは冷めた声でジョージ様に話しかけます。
確かにその通りです。
爵位や士族位などどうでもいいことです。
ドウラさんを治療する薬の素材となる属性竜の確保が全てです。
「その通りです、ジョージ様。
爵位や士族位など不要です。
そもそも強制任官なのです。
嫌々召し抱えられるのです。
ドウラさんを助けるのが最優先です。
属性竜を奪われるくらいなら、新天地を目指します。
その事を強く訴えてください」
「分かっているよ。
それは絶対条件にする。
認められなければ、ゲイツ家もゲイツクランも新天地を目指す。
その上での条件闘争だよ。
安心してくれ」
正直ほっとしました。
ジョージ様は代々皇室に仕える家柄です。
まあ、養父のレイ家も実父のホセイ家もそうなのですが。
そのため冒険者より家臣の立場を優先するのではないかと恐れていたのです。
「で、だ。
ドウラを助けるための薬素材と、俺達と家族を救うための薬素材に、俺達の武器になる素材以外は、公開入札すると約束するんだ。
そうすれば圧倒的な資産力を持つ皇室が素材を確保できる。
無理な要求をしなくなるはずだ。
それと今後の活動なのだが、強制任官には応じるが、近衛や王都の役職ではなく、魔都の役職を要求して、公務中の狩りは皇室に献上する。
公務外の休日に狩る分は自分達の収入にする。
この条件でどうだ?」
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