第2話相談
「ジョージ先生。
ゲイツ家のクランに所属させてください。
この通りです」
私は正直に全てを話し、頭を下げてお願いしました。
今の私には、頭を下げる以外に方法がありません。
「話は分かった。
婚約を解消するくらいだから、不退転の決意なんだろう。
だが一つ確認しておきたい。
ヴィクトルには相談したのか?」
「いえ、義父上には相談していません。
これ以上義父上に負担をかけられません」
「それは違うぞ、ラナ。
お前の実父ペタルとヴィクトルは肩を並べて戦った戦友だ。
互いに何かあった時には、残された家族の面倒を見る約束をしていた。
妻を亡くしたヴィクトルが、お前の母ビクトリアを後妻にもらったのもおかしな話ではない。
ちゃんと相談しなければ、ヴィクトルもビクトリアも哀しむぞ」
「それは分かっています。
ですが世話になるだけでは私の一分が立ちません。
私が戦えない弱者ならともかく、それなりに戦えると自負しております。
先生は私が戦えないと思っておられるのですか?」
「どちらの親に似たのか?
いや、両方とも誇り高き漢だったな。
ラナなら自分の食い扶持くらいは稼げるだろう。
もっとも、安心できるクランに入ることができればだがな」
「その点はペタル父上とヴィクトル義父上に心から感謝しています。
もちろん先生にも感謝しております」
「魔都にまで行くつもりか?」
「ゲイツクランの拠点は魔都だとお聞きしています。
行くなら、稼ぐなら魔都なのではありませんか?」
「ヴィクトルもビクトリアも反対するぞ?」
「先生に説得していただけたら、許可してもらえると思います」
「仕方のない奴だ」
「申し訳ありません」
「分かった。
話はしてやろう。
だがしばらく待て。
ラナに相応しいパーティーを探さなければならん。
ラナの腕に不足はないが、なにぶん実戦経験がない。
新人を受け入れるのは、パーティーに大きな負担になる。
場合によれば生き死ににつながることもある。
受けてくれる女パーティーを探すのには時間がかかるのだ」
「お手数をおかけします」
「それまでは狩りに行くことを想定した鍛錬をしてもらう。
その心算でいてくれ」
「はい」
その日から、道場での鍛錬が真剣を使ったものになりました。
極めて危険な訓練です。
ジョージ先生はもちろん、次期道場主のマルティン先生まで鍛錬をつけてくださいました。
いえ、次男のイヴァン師範代や三男のダニエル師範代まで鍛錬に加わってくださいました。
完全に実戦を想定しての訓練ですから、一対一ではありません。
一対二、一対三、一対四の敵に囲まれた時の対処訓練。
二対二、三対一といった連携訓練まで、ありとあらゆる実戦を見据えた訓練をつけてくださいました。
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