あの人を忘れられたら

烏神まこと(かみ まこと)

1

「しつこくしちゃうのは、彼の嫌がるところが好きだからなんだ」


 君は俺の肩に寄り掛かりながら、呟くようにそう言った。分かっているだろうけど、と付け加えて。


 貴重な二人だけの時間になぜ他の男の話をするのだろう。話すキッカケをつくったのは俺だと理解しているのに君に甘えたい我儘な気持ちが口から溢れそうになる。


 ぬるくなったコーヒーカップの中身を言葉とともに胃袋に流し込んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

あの人を忘れられたら 烏神まこと(かみ まこと) @leaf6

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説